千田翔太・佐々木勇気

「不屈の棋士」から9ヶ月後の千田翔太五段

2017/02/12

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観戦記者の大川慎太郎氏が今年7月に出版した「不屈の棋士」という著書があります。

Amazonのカスタマーレビューを見ると、将棋カテゴリの新書にしては珍しく、好評価のレビューがたくさん集まっています。

将棋の書籍はたいていレビューの数が一桁がザラなのですが、やはり世間の人々も、「棋士vsソフト」の行く末が気になっているようです。

大川 - 千田 再び

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同著でインタビューに答えているのは、羽生善治三冠や渡辺明竜王を始め、将棋界でも指折りのビッグネームが出揃っています。

その中で大きな反響を呼んだのは、実績・知名度で劣る千田翔太五段のそれだったようで、将棋「名勝負」伝説でも大川慎太郎氏が千田翔太五段にインタビューをしています。

「不屈の棋士」での千田翔太五段のインタビューは2015年12月に行われていて、それから9ヶ月後に行われています。

その間、NHK杯で準優勝し、第1期電王戦で山崎隆之叡王がPonanzaに完敗を喫しました。

1年近く経てば色々と変わることがあったらしく、「不屈の棋士」でおっしゃていた終盤の研究が予定通りいかなかったとか、見どころはたくさんあります。

見どころはたくさんあるのですが、これを読んで驚くのは、まず冒頭からです。

「みなさん、そんなに強かったんですか」

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まず冒頭で、大川氏が「『不屈の棋士』でほかの棋士の発言を読んで感じたことはありましたか?」と質問しました。

それに対する千田五段の答えが、近年稀に見るビッグマウスで度肝を抜かれます。

自分の頭で考えることの重要性に言及する人が多かったですよね。真っ先に感じたのは、「みなさん、そんなに強かったんですか」と。

「奨励会員とか、未熟なうちにソフトを使うかどうか」という話題があって、ほとんどの棋士は、強くなる前にソフトを使うと「将棋が強くなりにくい」と語っていました。

でも、「みなさん、そんな事を言えるほど強くないでしょ。神様にでもなったつもりか」と思いました。

将棋が強くない人間の頭で局面を考えるのは、強い存在(ソフト)から学び取ることと比べると効率が悪いのは明らかです。

人間を過大評価している気がしました。

千田五段の今年度成績は、39戦32勝7敗(勝率:0.8205)で、対局数は3位、勝数は1位タイ、勝率は2位の好成績(2016年11月16日現在)。

第2期叡王戦でも決勝戦まで勝ち進み、優勝をかけて12月から佐藤天彦名人と激突します。

確かに千田五段が強いのは間違いないし、発言の筋も通っています。

でも、本当に強いのは、これだけのビッグマウスを言い切る千田五段の心臓です。

-千田翔太・佐々木勇気