伊奈めぐみさんにとって渡辺明竜王は「家に居る人」
2017/04/08
羽生善治三冠と並ぶ将棋界の双璧・渡辺明竜王
中学生で棋士になり、20歳で初タイトル「竜王」を獲得し、以来32歳になった今までタイトル保持者で在り続ける第一人者。
2016年度末には永世竜王に続いて、永世棋王の資格を得ました。
将棋ファンから見れば、渡辺竜王はまごうことなき「すごい人」です。
しかし、毎日同じ屋根の下で過ごす奥様・伊奈めぐみさんにとっては・・・。
奥様から見た渡辺竜王は・・・
(画像:将棋の渡辺くん 第2巻)
「将棋の渡辺くん」の著者であり奥様である伊奈めぐみさんは、旦那のことを「すごい」とは思っていないようです。
なぜなら、「家では本当に何もできない」から。
諌: (略)「将棋の渡辺くん」は、極力、渡辺さんを凄い人に見せないにして描いているのが、ポイントですよね。そこが素晴らしい。
伊: いえ。私は別に凄い人だと思っていないんです。家に居る人。
諌: えっ!いや、でもこれだけの競技人口のトップの人ですよ。だから、その「家での姿は・・・」みたいなギャップ萌え。竜王の「ほつれ」をあえて描くという戦略が・・・。
伊: 無いです。家では本当に何もできない。頭いいな、と思うことはとくに何も・・・ねえ?
渡: ちょ、ちょっとはない?
伊: ない。
渡: 皆無?
伊: ゼロ。
この鼎談は、渡辺明竜王と伊奈めぐみさんと諌山創先生(進撃の巨人)で行われました。
なぜその3人が集まって鼎談をしたかというと、「将棋の渡辺くん」の単行本(第2巻)が発売された記念のものです。
なのに、その単行本の主人公兼監修兼自分の旦那を「家に居る人」と言い切る始末。
渡辺竜王は若い頃、歯に衣着せぬ発言で「酷評三羽烏」と言われていましたが、めぐみさんもかなりの毒舌です。
「家に居る人」の家での実態
(画像:日本将棋連盟より)
めぐみさんが「家では本当に何もできない」と語る渡辺竜王は、基本的に「自分が興味のないこと」には全くの無力。
以下はその一例です。
23歳の旦那 < 3歳の息子
同じ料理の出来ない2人なら、23歳の旦那よりも3歳の息子に教えた方が早そうだ。
料理のできる男になってくれ。
(引用:妻の小言。2008/2/20より)
洗濯物床置き事件
去年の夏の話。出先で突然雨に降られ、家にいる旦那に電話を掛け「ベランダに干してある洗濯物寄せといて!」と言った。
帰ってくると半乾きの洗濯物が床に山積みにされていた。
なぜ床に置いてあるのかと尋ねると「取り込んでって言ったから」と答え、
なぜ掛けておいてくれないのかと尋ねると「そんなこと言ってなかったから」と答えた。
悪びれた様子もない旦那に悲しくなり、泣きながらしわくちゃになった服を洗濯機につっこんだ。
(引用:妻の小言。2008/6/10より)
蚊取り線香直起き事件
先日、旦那と息子が庭で遊んでいた。「蚊取り線香を焚くといいよ」と私が言うと、旦那と息子は「わかった」とうなずいた。
数分後、庭をのぞきに行くと、火の点けられた蚊取り線香がウッドデッキの上に直接置かれていた。
「おぉおおおい!火事になるじゃんかっ!!」ありえない光景に声を荒げると、「なにが?」ときょとんとした表情の旦那。
旦那の非常識にめまいがしながらも、蚊取り線香は台の上に乗せて使うということを丁寧に説明する。
「へぇー。それ言ってくれなきゃ分かんないよ」
「あ、あのさ…考えてよ…こうさぁ…想像力働かせて」
「分かんないよ」
「……」
ちなみに去年も同じことを説明している。その証拠に我が家のウッドデッキには蚊取り線香の丸い形の焦げた跡がくっきり残っている。
(引用:妻の小言。2009/07/18より)
こういうのを結婚してからずっと間近で見ていたら、「家に居る人」としか思わないのも・・・ねぇ。
ちなみにこれらの「渡辺竜王は家では何もできない人です」エピソードの数々は、「将棋の渡辺くん」でネタになっていると同時に、このマンガの中核です。
強さの源泉
上記に引用したのは7・8年前の記事で、渡辺竜王が20代半ばだった頃のこと。
めぐみさんの漫画家としての活動が忙しくなってからは、「自分で作れた方が便利だから」という理由で、料理も少しずつできるようになってきているらしいですが、基本的には無力です。
でも、興味あることには徹底して取り組むので、それが渡辺竜王の圧倒的な強さの源泉になっています。