藤井猛

「涓滴」の体現者・藤井猛九段

2016/11/20

藤井猛九段がよく揮毫(毛筆で何か言葉や文章を書くこと)する言葉に、「涓滴」という言葉があります。

「涓滴岩を穿つ」という格言があり、「わずかな水のしずくも、絶えず落ちていれば岩に穴をあける。努力を続ければ、困難なことでもなしとげられる(コトバンク)」という意味です。

藤井猛九段公認の応援サイト「鰻屋本舗」の管理人の方のハンドルネームも「涓滴」さんです。

藤井システムの創始者

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(画像:王位戦中継ブログより)

藤井猛九段は言わずと知れた藤井システムの創始者。

藤井システムは将棋の革命と言われ、自身もその戦法を原動力に竜王を3連覇しました(1998~2000年度)。

将棋界で最も賞金の高い棋戦で勝ちまくったとあって、藤井九段は若くして西荻窪に豪邸を建てています。

独創的な戦法を世に生み出した棋士・藤井九段のプロへの道のりもまた独創的。

これまで断片的に明かされてきた修業時代の過去が、将棋世界2014年9~11月号「ぼくはこうして強くなった 藤井猛九段編」で語られました。

将棋を指す相手がいなかった修業時代から、藤井システム創作秘話まで、ファン必見の内容が詰め込まれています。

特に、将棋世界2014年11月号はほぼそっくりそのまま「藤井システム創作秘話」といっていい内容で、伝説の一号局までの苦難の道程が明かされています。

「涓滴」の体現者

藤井システムは2000年前半頃に一度廃れますが、それから10年後の現在、再び振り飛車の主力戦法として復活しつつあります。

それを象徴するかのように、藤井九段は今年の銀河戦で藤井システムを連続採用して、見事優勝を果たしました。

羽生善治三冠は藤井システムについて、このように語っています。

羽生 例えば森下システムだと矢倉がずっと指されてきたなかで、基本があってシステムが生まれてきたわけですが、藤井システムは角道止めて飛車回って四間飛車にする、あとは全部彼の独創だからそれがすごいところです。

(引用:羽生善治名人が語る藤井システム

既存の定跡がベースにあれば、新手が功を奏す可能性は高まりますが、藤井システムの場合はベースそのものが存在しないので、報われるあてもなかったということ。

報われるあてのない研究をたった一人で実現させられたのは、まさに「涓滴」の精神があったからこそ。

「努力を続ければ困難ことでも成し遂げられる」といいますが、ほとんどの人は口で言うほど簡単にはできないのです。

藤井猛九段はまさに「涓滴」という言葉の体現者なのです。

-藤井猛