若き日の羽生善治竜王は、うわの空で将棋を指しても強かった
羽生善治三冠と畠田理恵さんの馴れ初めで紹介した通り、羽生善治竜王と畠田理恵さんが出会ったのは、1994年の9月のこと。
当時女優だった理恵さんの雑誌の企画のゲストとして、羽生さんが呼ばれたのがきっかけでした。
しかもその対談の最終回で、当初はゲストとして呼ばれる予定のなかった羽生さんがゲストとして呼ばれる、という運命的な出会いでした。
七冠ロードを走る中で
スーツの買い物を超高速で終え、久しぶりに2人でランチ。子供無しで外食はしないので久々。私のTwitterに頂いたメッセージを見せたり、そして、やはり子供の話題、鬼畜眼鏡からうさぎおじさん化笑)や、と将棋の未来を話す。🌸さくら🌸とあひるも😌
— うさぎ🐰あひる🐣Xmas🎁🎅 (@mau28310351) 2016年9月28日
1994年といえば、羽生さんが七冠王への道をひた走っている真っ只中の時期。
とはいえ、当時まだ20代半ばと若かった頃ですから、今の羽生さんからはちょっと想像のつかない一幕もありました。
対局中も「うわの空」だった交際中の羽生さん
河口俊彦八段の著書『盤上の人生 盤外の勝負』より、羽生さんが上の空で将棋を指していたときのエピソードを引用します。
後に佐藤から聞いた話がある。
「竜王戦のときの羽生さんは、なにか変だった。考えているときも、どこか気が抜けているようだったし、休み時間になるのを待っていたように自室に引きあげるんです。いつもと違っていましたね」
たしか十二月中旬頃、新聞に、羽生が女優の畠田理恵さんと交際していると報じられたのを、読んだ記憶がある。すると、竜王戦を戦っている十月か十一月ころ、交際が始まったのだろう。
「きっと早く電話を掛けたくて、自室に戻ったんだよ。君は上の空の男に負かされたんだ」
私がそんなことを言うと、佐藤は「そうでしょうね」と笑った。
その佐藤だって、後に大恋愛をし、その最中に、奇跡的に防衛した。どうやら恋をしているときの棋士は強いらしい。
(引用:盤上の人生 盤外の勝負
P.88~89より)
文中の「竜王戦」とは、佐藤康光竜王(当時)に羽生善治五冠(当時)が挑戦した第7期竜王戦のことだと思われます。
その前年、逆の立場で羽生さんが負かされており、そのリターンマッチに成功しています(4勝2敗で奪取)。
竜王に復位し、史上初の六冠王になった羽生さんの勢いはその後も止まらず。
その年度末に谷川浩司王将(当時)に七冠制覇をかけて挑戦し、一度は阻まれるものの、その1年後に七冠王になります。
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「うわの空」でも勝ってしまう羽生さん
羽生さんにも「恋愛で頭がいっぱい」になっていた時期があったということ。
この当時はまだ24歳とはいえ、対局中にうわの空になっている羽生さんの姿は、今ではもう想像がつきません。
その存在が圧倒的過ぎて、どこか現実離れした雰囲気が漂う羽生さんですが、どこにでもいる若者相応の一面もあったということです。
そして、そんな状態でもタイトル戦で勝ってしまうのだから、「さすが羽生さん」としか言いようがありません。