ネット中継将棋観戦記

佐藤天彦名人、力戦模様の横歩取りを制す 【第2期叡王戦決勝三番勝負第1局】

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(画像:叡王戦中継ブログより)

第2期叡王戦決勝三番勝負第1局は108手までで後手の佐藤天彦名人が制し、同棋戦初優勝まであと1勝としました。

天彦名人の横歩取りといえば、近年の大活躍を支えるドル箱戦法。

それに千田五段が臆せずに独自の戦法で立ち向かいましたが、名人の貫録が勝りました。

19手目▲7七角まで

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天彦名人の十八番・横歩取りの出だし・・・と思いきや、いつもの5二玉型ではなく、4一玉型に構えます。

対する千田五段も、本来なら横歩(3四)を取るところで、角交換から両取りに打って、いかにも研究がモノを言いそうな展開を迎えます。

しかし見た目の派手さとは裏腹に、この両取りは△8二飛と引けばすぐに受かり、この後はしばらく駒がぶつかることなく進みます。

44手目△6九角まで

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上図の一手前の先手の指し手が▲8七金(7八から上がった)で、後手の竜を捕まえて先手が指せる、と千田五段は読んだはずです。

しかしそれには大きな落とし穴があり、この△6九角が激痛の一手で、形勢の針が大きく後手に揺れ動きます。

▲同玉の一手に△6七竜が王手角取りになり、行き場のなかった竜が生還しただけでなく、一気に先手玉が不安定になってしまいます。

64手目△8一歩まで

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一気に苦しくなった千田五段ですが、初の棋戦優勝とPonanzaとの対戦をかけて簡単にはあきらめません。

打ちにくいはずの自陣角を打ち、なんとか飛車・金を捌こうと試みますが、天彦名人の手堅い受けにことごとく阻まれます。

5一と8一に打たれた底歩がそれを物語っていて、ここまで徹底して受けられると、大駒の働きの差がそのまま形勢の差に跳ね返っています。

88手目△6八金まで

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先手が攻めあぐねている間、手に乗って後手が直実にリードを広げます。

持ち駒に金駒ののない先手は粘るのが難しく、後手は飛車をいじめながら先手玉に迫ることができるので、後手勝勢といっていいほどに差がついてしまいました。

投了図

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108手目△3八金まで、後手の佐藤天彦名人が第1局を制しました。

本局は千田五段が角交換からの▲7七角を研究してぶつけたのだと思いますが、天彦名人の対応が堅実で正確でした。

第2局は1週間後、12月11日に行われます。

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