千田翔太・佐々木勇気 藤井聡太

語り継ぐべき棋譜 佐々木勇気五段 vs 藤井聡太三段(当時)の大熱戦

2017/02/19

将棋世界2016年7月号は、中原誠十六世名人と渡辺明竜王のスペシャル対談が目玉企画として大々的に推されています。

確かに超豪華な2人なのでそれはごもっともなのですが、それよりももっと注目すべき企画が掲載されています。

それは、第23回岡崎将棋まつりのイベントとして行われた、佐々木勇気五段 vs 藤井聡太三段(当時)の一局です。

藤井聡太四段が棋士になる直前に残した貴重な棋譜であり、こっちこそ永久保存すべき内容です。

だって、未来の名人候補の、棋士になる前の将棋の棋譜が載っているのですよ!

将棋史を塗り替えた天才・藤井聡太四段

藤井聡太四段は、もうここでわざわざ詳しく説明する必要もないくらいの、言わずと知れた大天才です。

史上5人目の中学生棋士にして、史上最年少14歳2ヶ月でプロ入りした、未来の将棋界を背負って立つこと間違いなしの逸材。

この将棋を指した当時はまだ奨励会三段でしたから、観戦記の冒頭はこのように始まっています。

藤井聡太三段。噂の天才君である。

まだ奨励会員だから、本当は本誌のような専門誌で大きく取り上げるのはまだ早いが、世間がそれを許さない。

その名前はすでに多くのネットのニュースで取り上げられている。

(引用:将棋世界 2016年7月号より)

今となってはなんだか新鮮な気さえします。

公式戦初対局では、それまでの史上最年少プロ入り記録(14歳7カ月)の持ち主であり、現役最年長棋士である加藤一二三九段に見事勝利。

第30期竜王戦6組予選という、普段日の当たることのない対局ながら、2人の天才が相見えるとあって、社会的規模で注目を集めました。

その将棋の観戦記は、将棋世界2017年3月号に掲載されています。

この観戦記を読めば、藤井聡太四段の将棋がどういうものかが分かり、またそれが今までの棋士にはない才能であることがよく分かる内容となっています。

史上5人目の中学生棋士候補だった佐々木勇気五段

対局相手の佐々木勇気五段も、中学生棋士にはなれなかったものの、16歳1カ月の若さでプロ入りした大天才です。

小学校1年生でアマ四段になり、小学校4年生のときに小学生名人戦で優勝した経歴を持ち、奨励会に入ってからも猛スピードで昇級・昇段を重ねます。

史上最年少の奨励会三段記録は藤井三段に更新されたわけですが、それまでの最年少記録は佐々木五段の13歳8カ月でした。

惜しくも中学生棋士にはなれなかったわけですが、それでも16歳1カ月での四段昇段は中学生棋士5人に次ぐ史上6番目の早さ。

今期は棋王戦挑戦者決定戦まで勝ち進み、そこで惜しくも千田翔太六段に敗れましたが、飛躍の瞬間がもうすぐそこまで来ていることを感じさせてくれました。

公式記録には残らない名局

表題には、「歴史に残る天才対決」とあります。

この将棋は将棋まつりのイベント対局であり、公式戦ではありません。

だから、記憶には残るかもしれないけど、公式の記録には残らないのです。

ならば、ひとりの愛棋家として為すべきことは何か?

それはもちろん、「この天才同士の棋譜を語り継ぐ」こと。

ぼくは雑誌を買うことでしかそれをできませんが、この将棋を生で見ていた方は、歴史の生き証人です。

奇跡の熱戦

その将棋は、相矢倉から藤井三段が「新感覚の一手」を放って仕掛け、若者同士らしい激しい捌き合いとなりました。

その終盤、藤井三段が受けても勝てそうな局面で、谷川光速流を彷彿とさせる一気の寄せで後手玉を仕留めにかかります。

しかし受ける佐々木五段も容易に土俵を割らず、詰めろ逃れの詰めろの応酬で・・・・!と、ネタバレはここまで。

後世に語り継ぐに相応しい、奇跡的な熱局です。

あとはご自身の目で確かめてください。

-千田翔太・佐々木勇気, 藤井聡太