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歴史にその名を刻めるか? 有望アラサー棋士たちが集う「平成版羽生世代」

プロ野球界に「松坂世代」という言葉があるように、将棋界には「羽生世代」という言葉があります。

羽生善治三冠を筆頭に、ほぼ同じ年(1970年前後)に生まれた森内俊之九段・佐藤康光九段・郷田真隆王将、夭逝した天才・村山聖九段など、後に将棋界を席巻した世代の通称です。

他にも通称「遅れてきた羽生世代」の丸山忠久九段は名人に、藤井猛九段は竜王になりました。

それと同じように、「平成版羽生世代」とも言うべき当たり年があります。

平成版羽生世代

「平成版羽生世代」とは、1987年前後に生まれて、1998年に奨励会入りした世代です。

主なメンバーは以下の通り(段位・肩書は2017年2月12日現在のもの)。

  • 戸辺誠七段(1986年8月5日生まれ)
  • 広瀬章人八段(1987年1月18日生まれ)
  • 高崎一生六段(1987年2月12日生まれ)
  • 佐藤天彦名人(1988年1月16日生まれ)
  • 糸谷哲郎八段(1988年10月5日生まれ)

この中でタイトル獲得経験があるのは佐藤天彦名人と、広瀬章人八段(第51期王位)と糸谷哲郎七段(第27期竜王)の3名。

佐藤天彦

(画像:棋王戦中継ブログより)

第74期(2016年度)名人。

2016年、羽生善治名人(当時)を4勝1敗で下し、28歳で実力制移行後13人目の名人となった。

プロ入り前から将来を嘱望されていたが、プロ入り後数年間はパッとせず、ブレイクしたのは2015年度になってから。

十八番の横歩取りで高勝率をあげ、王座戦と棋王戦の挑戦者となったがいずれも敗退。

しかしその勢いは衰えず、初参加のA級順位戦で8勝1敗、ぶっちぎりの成績で挑戦者となり、名人となる。

糸谷哲郎八段

(画像:竜王戦中継ブログより)

第27期(2014年度)竜王。

森内俊之竜王(当時)を4勝1敗で下しても初タイトルを獲得するも、翌期に渡辺明棋王(当時)を相手に失冠。

2016年に王座戦で羽生善治王座に挑戦し復権を期すも、3連敗であっさり敗退。

広瀬章人八段

(画像:王位戦中継ブログより)

第51期(2010年度)王位。

現在は居飛車党だが、タイトル獲得当時は四間飛車穴熊のスペシャリストで「振り穴王子」の異名をとった。

順位戦はA級で、初参加となった第73期に6勝3敗でいきなりプレーオフに進出する活躍を見せるも敗退。

翌期は一転、黒星が重なり降級争いに巻き込まれるが、スレスレで回避。

その他

タイトル獲得経験のない戸辺誠七段はB級2組で、高崎一生六段はC級1組。

つまり、特に広瀬・糸谷・佐藤の3人の活躍が著しく、2015年度は3人全員がタイトル戦に登場しました。

歴史に刻めるか

しかしこの世代は、近年稀に見る豊作世代でありながら、羽生世代のように有名ではありません。

その理由は明白で、強いのは間違いないのですが、世間の度肝を抜くくらいには勝っていないからです。

羽生世代は、七冠王になった羽生善治三冠を筆頭に、20代前半からずっとタイトル戦の常連で永世称号有資格者を計3人(羽生・森内・佐藤康)輩出しています。

それに対し平成版羽生世代は、長らく上の世代に押されてタイトル戦の常連と言えるほどには活躍出来ていないからです。

しかもすでに全員20代後半なので、棋力のピークギリギリ。

「羽生世代」のように、誰かの名を冠して将棋史にその名を残せるかは、かなり怪しいところ。

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