記録から見る将棋界

2016年度の順位戦(第75期)を振り返る

2017/06/23

2016年度の順位戦も全て終了し、各クラス悲喜こもごもの結果がそれぞれの棋士に出ました。

昇級を勝ち取った者、運に見放された者、いつも通りだった者、降級の憂き目に遭った者・・・。

あと1ヶ月も経たずに名人戦が始まるので、その前に今期の順位戦を振り返ってみようと思います。

A級

(画像:日本将棋連盟より)

挑戦者:稲葉陽八段(8勝1敗)

降級:森内俊之九段(3勝6敗)

昨期、佐藤天彦名人が初参加ながら8勝1敗でぶっちぎり優勝したのと全く同じ流れで、初参加の稲葉陽八段が8勝1敗で優勝して挑戦者になりました。

しかも稲葉八段は28歳なので、年齢までも昨年と同じという何かの不思議な力が働いているとしか思えない流れ。

降級の憂き目にあったのはまさかの十八世名人である森内俊之九段。

三浦弘行九段が特例で来期11位が保証されている影響で、今期の降級者は1名のみです。

その代わり来期は降級者が3名になるという恐ろしいルールになっています。

A級:リーグ表

B級1組

昇級:久保利明九段(9勝3敗)・豊島将之八段(8勝4敗)

降級:畠山鎮七段(3勝9敗)・飯島栄治七段(3勝9敗)

B級1組の昇級者2名はどちらも関西所属の棋士。

最終戦を迎える前に、久保利明九段が1期でA級への返り咲きを果たしました。

久保九段は順位戦終了後に王将を6期振りに奪取し、「捌きのアーティスト」と称された全盛時の強さを取り戻しています。

そしてなんといっても、かねてから大器の呼び声が高かった豊島将之八段がついにA級棋士になりました

最終局を迎えた時点で「自身が勝ち、山崎隆之八段が負け」なら昇級という、いわゆる「他力」の状態でしたが、やはり大器は将棋だけでなく運も強い。

16歳でプロになり、20歳で王将戦の挑戦者になった早熟の天才も、今年の4月で27歳になります。

谷川浩司九段以来の「名人の箱根越え」を期待している関西在住ファンも多いことでしょう。

降級は郷田真隆九段がスレスレで生き残り、終わってみれば畠山七段と飯島七段が順当に落ちました。

B級1組:リーグ表

B級2組

昇級:斎藤慎太郎六段(9勝1敗)・菅井竜也七段(8勝2敗)

降級:なし

20代前半のフレッシュな若手棋士2人が昇級に成功しました。

来期は誰も落ちそうな人がいない、史上最も恐ろしいB級1組になっています。

斎藤七段は順位戦に参加したのは第71期からなので、近年稀に見るスピード昇級です。

順位戦で常に好成績をとりながら、やや運に恵まれないイメージのある菅井七段も順当に昇級。

菅井七段はこれまで順位戦で7期戦っていますが、いずれも8勝以上あげているという驚異の勝ちっぷりです。

かたや降級した人はなし。

B級2組以下は必ず決まった数だけ降級するのではなく、降級点の累積による降級なので、こういう年もあります。

B級以上に在籍する唯一の60代棋士である青野照市九段は今期は奮わず、ひとつ目の降級点がつきました。

B級2組:リーグ表

C級1組

昇級:横山泰明六段(10勝0敗)・大石直嗣六段(9勝1敗)

降級:南芳一九段

若手時代から将来を嘱望されながら、C級2組でかなりてこずった横山泰明六段が、C級1組をわずか2期でクリア。

大石直嗣六段といえば、2013年にNHK杯戦で羽生善治三冠をダイレクト向かい飛車で破ったのが記憶に新しいですね。

降級点がついた6名のうち、降級に至ったのは南芳一九段。

南九段はいわゆる「花の55年組」のひとりで、実はタイトル通算7期を誇る棋士。

まだ53歳なので、衰えるのは早いはずなのですが・・・。

C級1組:リーグ表

C級2組

昇級:西尾明六段・門倉啓太四段・近藤誠也四段(全員9勝1敗)

降級:藤原直哉七段・森けい二九段・加藤一二三九段

プロ1年目にして王将リーグ入りした近藤誠也四段が順位戦でも1期抜け。

そして森けい二九段・加藤一二三九段に3つ目の降級点がついて無念の降級。

森九段と加藤九段はフリークラス規定により引退が決まっており、特に盤外での活躍も多い加藤九段の引退は社会的にも注目を集めました。

しかし引退が決まりながらも、現役最年長記録更新や史上初の2500対局を達成するなど、最後の最後まで注目を集めています。

C級2組:リーグ表

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