藤井聡太四段はC級2組を1期抜けできるか?
2018/08/14
2017年度も6月に入り、名人戦が終わるとともに、いよいよ順位戦が開幕しました。
今期こそ渡辺明竜王が挑戦者になれるか?という興味もありますが、それ以上に興味を惹かれるのが、もちろん藤井聡太四段。
2016年10月1日付での四段昇段だったので、昨年度は参加できていませんでしたが、今期からついに順位戦に参戦します。
藤井聡太四段の第76期C級2組順位戦
(画像:藤井聡太四段が24連勝!歴代2位タイにより)
藤井聡太四段が今期のC2で当たる、10人の棋士のデータをまとめました(以下の数字は2017年6月11日現在のもの)。
対局 | 手番 | 相手 | 年齢 | 前期成績 |
---|---|---|---|---|
1 | 後 | 瀬川晶司五段 | 47 | 5勝5敗 |
2 | 先 | 中田功七段 | 49 | 3勝7敗 |
3 | 後 | 高見泰地五段 | 23 | 7勝3敗 |
4 | 先 | 佐藤慎一五段 | 34 | 4勝6敗 |
5 | 後 | 星野良生四段 | 28 | 6勝4敗 |
6 | 後 | 脇 謙二八段 | 56 | 4勝6敗 |
7 | 先 | 高野智史四段 | 23 | 7勝3敗 |
8 | 先 | 矢倉規広七段 | 42 | 4勝6敗 |
9 | 後 | 梶浦宏孝四段 | 21 | 8勝2敗 |
10 | 先 | 三枚堂達也四段 | 23 | 7勝3敗 |
参考資料:第75期C級2組順位戦・第76期C級2組順位戦
藤井聡太四段の今期の当たりはどうなのかというと、ぶっちゃけけっこう厳しめです。
けっこう当たりが悪い藤井聡太四段
B級2組以下の順位戦は、在籍人数が多いため総当たり戦ではなく、対局相手が抽選で決まります。
それはつまり、昇級のしやすさが運によって左右されるということです。
強い相手と多く当たれば当たるほど昇級しづらくなるし、その逆もまた然り。
将棋界での「強い人」というのは、「若い人」とほぼ同義です。
藤井四段の場合、前期7勝以上をあげた20代前半の棋士と4人も当たっているので、けっこう厳しい当たりだということになるわけです。
特に9回戦の梶浦四段は前期の4位(昇級した上位3名の次に成績がよかった)ですし、最終局の三枚堂四段も初参戦だった第73期に8勝した強敵です。
昇級には最低でも(10戦中)9勝が必要
初参加だと順位が悪いのも、昇級を阻む要因のひとつ。
棋士にとっての20代は最も勝てる時期であり、昨期昇級し損ねた活きのいい若手棋士が上位陣にゴマンといます。
藤井四段が1期抜けを果たすためには、順位下位のハンデを考えると、悪くとも9勝は必要で、8勝ではまず無理と考えるのが妥当です(前期の昇級者は3名とも9勝1敗)。
つまり、ただでさえ当たりが悪い中、最低でも10戦中9勝はしないといけないということです。
是非とも見てみたい「10代の名人」
順位戦初参加で昇級を果たすことを、いわゆる「1期抜け」といいます。
その「1期抜け」は、これまでの順位戦の歴史でどのくらいの頻度で起こっているのか。
過去6期(2011~2016年度)で4名が昇級しているとだけ聞くと、そんなに難しいことではなさそうですが、2011年度の船江恒平五段の前は、1989年度の屋敷伸之九段まで遡ります。
とどのつまり、1期抜けを果たすのは至難の業なのです。
しかし、データ的には難しくとも、藤井聡太四段はそもそもが規格外の存在。
藤井聡太四段には、ノンストップで順位戦を勝ち上がれば、10代で名人になれる可能性があるので、是非とも1期抜けしてもらいたいのです。