女流棋士

加藤桃子女王の天国と地獄の1年間

上田初美女流三段が加藤桃子女王に挑戦する第10期マイナビ女子オープン五番勝負。

4月11日(火)に行われた第1局は加藤桃子女王が先勝し、防衛に向けて幸先よくスタートしました。

内容も圧巻で、上田女流三段のゴキゲン中飛車を完璧に封じ込め、完勝といっていい内容でした。

棋譜

加藤将棋の持ち味

(画像:マイナビ将棋情報局より)

加藤桃子女王は女流棋士ではなく奨励会員ですが、女流棋戦に女性奨励会員が参加できるようになって以来、常に好成績をおさめています。

しかし、2016年からの1年間は彼女にとって、天国と地獄を同時に経験したような1年でした。

2016年春の第9期マイナビ女子オープンでは、室谷由紀女流二段を3勝1敗で退けて防衛します。

室谷さんの巧みな序盤戦術に不利になるも、粘り強い指し回しで決め手を与えずに逆転、という対局が多く、とても見応えのあるシリーズでした。

加藤桃子女王の将棋は、優勢な局面では手堅い指し回しで逆転を許さず、また、劣勢な将棋でも容易には崩れない粘り腰を持ち味としています。

その持ち味が存分に発揮され、これまで女王3期・女流王座4期を獲得し、大多数の女流棋士よりも遥かに女流棋戦で活躍しています。

女流王座失冠&奨励会1級に降級

しかし2016年秋の女流王座戦では、その持ち味が消え失せたかのように精彩を欠き、3連敗でストレート負け。

クイーン女流王座の資格を掴み損ねたばかりか、挑戦者の里見香奈さんに女流五冠復帰を許してしまいます。

しかもその防衛戦の最中には、本線ともいうべき奨励会で、初段から1級に降級する憂き目に遭います。

奨励会の年齢制限は「26歳までに三段」以外にも、は21歳までに初段になれないと退会という規定があります。

初段から1級に降級した加藤さんの場合、半年以内に初段に戻れなければ退会というピンチでした。

しかし、悪いときは(本人が思うほどは)そう長く続かないもので、徐々に本来の実力を取り戻していきます。

復調

NHK杯では女流での出場枠を勝ち取り、1回戦で近藤誠五段と戦います。

ちなみにもし勝ち上がれば、次の相手は渡辺明竜王です。

そして年度が明けた2017年4月1日、ついに奨励会で初段に復帰します。

2017年度を幸先よく迎え、先述の通りマイナビ第1局では完勝します。

優勢な将棋を手堅く勝ち切る、加藤将棋の本来の持ち味が発揮された将棋でした。

上記のツイートの文章からは、彼女が悩み、苦しみ、もがき、挫折しけながらも、それでもあきらめずに戦ってきた様相が思い浮かんできます。

努力が報われて、彼女の未来が断ち切れることがなくて、本当によかった。

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