藤井聡太

【炎の七番勝負】 藤井聡太四段の類稀な才能を示した▲1一銀不成 【第3局】

2017/04/24

第1局で増田康宏四段に勝ち、第2局で永瀬拓矢六段に敗れて迎えたAbemaTV「炎の七番勝負」第3局。

藤井聡太四段は本局で斎藤慎太郎七段(対局時は六段)のゴキゲン中飛車を破り、対戦成績を2勝1敗としました。

第2局では力負けした藤井四段でしたが、本局では第1局のように、その稀有な才能を示す妙手が飛び出して快勝でした。

才能を示した「不成」の選択


斎藤七段は普段は居飛車党ですが、本局ではゴキゲン中飛車を採用。

藤井四段は第2局と同じように銀をスルスルと進めて3四歩を掠め取り、斎藤七段は△4四角と上にかわします。

永瀬六段は△2二角と下に引き、先手の歩交換に合わせて△5四飛と浮いて対抗していました。

本譜は先手が一旦飛車を引き、銀を突っ込んで2筋突破を狙い、その動きに乗ってカウンターを狙う後手が、△2六歩と飛車を封じた局面。

次の先手の一手は、常識的に考えれば▲1一銀成の一手なのです。

成銀がそっぽに行くのを嫌って3三金を取るという手も考えられますが、それは△同桂と取り返されて、次に飛車を2筋に転回させる手があるのでそれはダメ。

だから香車を取る一手なのですが、藤井聡太四段の指し手は▲1一銀不成

成って取るのが常識的な発想なら、不成で取るのは常識外の発想。

凡人には絶対に浮かばない、いや浮かんでも真っ先に読みを打ち切ってしまいます。

なぜなら、次に△3四金で銀が取られてしまうから。

一閃!タダ捨ての銀

37手目以降の指し手:△3四金▲2二銀成!△同角▲2六飛△3三角▲3五歩

△3四金は銀取りに角の利きを通しながら、そのまま金を攻めに転用する一石二鳥の一手。

▲1一銀成なら1二に引いて助かるので、不成は常識外の発想なのです。

しかし次の▲2二銀成が、藤井四段の類稀な才能を示した、1一銀不成の継続手

あえて△同角と取らせて、▲2六飛と抑え込まれそうだった飛車を世に出します。

角取りを受けた△3三角には、▲3五歩がこれまた才能煌めく一手。

単に▲2三飛成と成りこめば金取りの先手なので浮かばない手なのですが、それだと飛車を強引に捕獲される可能性があり、それを避けたのです。

金を逃げていられない後手は、△5六歩の切り札を発動して攻め合いに活路を求めます。

先手は後手玉の反対側を攻めているのに対し、後手は先手陣のすぐ側を攻めているので、常識的には振り飛車側に分のある勝負だと思いがちです。

しかし、実は本譜はどうしても振り飛車側に苦労の多い形勢で、その理由は後手玉が端歩の突いていない美濃囲いだから。

いつでも▲4六角の切り返しがあり、5筋から攻め込んでいる後手は、それを避けて攻めるのは難しいのです。

第4局:対中村太一六段戦

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