藤井聡太四段が15歳で竜王になるまでの道のり
5月31日、1組5位決定戦で阿久津主税八段が豊島将之八段に勝ち、第30期竜王戦本戦トーナメントの出場者が全員決まりました。
昨年よりも微妙に対局料が増えているのも気になりますが、今年の竜王戦はトーナメント初戦から目が離せません。
(画像:日本将棋連盟より)
もちろん今年の見どころといえば、6組優勝の藤井聡太四段。
昨年12月のプロデビュー戦以来、負け無しの19連勝中。
その間に非公式戦で羽生善治三冠すらも破り、その快進撃はもはや社会現象にまでなっています。
中学生竜王へのカウントダウン
(画像:中日スポーツより)
藤井聡太四段は今年7月19日で15歳になる中学3年生。
中学生が竜王戦決勝トーナメントに出場するのは初めてのことで、中学生でのタイトル獲得となれば、将棋史に永遠に残る偉業となります。
現在の最年少タイトル獲得記録は屋敷伸之九段の18歳6ヵ月ですが、もう当たり前のように塗り替える勢いです。
藤井四段は6月末あたりから、竜王への挑戦権を得るべく決勝トーナメントを戦います。
かつての「5人目の中学生棋士」候補との戦い
まず当たるのは、5組優勝の増田康宏四段。
AbemaTVでの第1局の組み合わせであり、伝説の▲9七玉!が記憶に新しいところ。
その次は4組優勝の佐々木勇気五段。
佐々木勇五段とは奨励会三段時代に席上対局で一度戦っており、そのときは接戦の末藤井四段が競り負けています。
本局はそのリターンマッチという構図になりますね。
この2人はかつての5人目の中学生棋士「候補」だった棋士であり、リアル5人目の中学生棋士の藤井四段との対比が、シナリオとして上出来です。
現役タイトル保持者&1組優勝者
3人目は先述の阿久津主税八段。
もしこの枠の出場者が豊島八段なら、5人目の中学生棋士「候補」だった棋士との対決が3連戦となっていました。
4人目の相手は現役タイトルホルダーのひとり、久保利明王将。
7人の棋士の中で唯一の、そして「捌きのアーティスト」と称される現役最強の振り飛車党。
5人目は1組優勝の松尾歩八段。
毎年A級昇級を争う実力派の中堅棋士であり、1組予選では羽生善治三冠を破っています。
天の采配
ここまで勝ち上がれば挑戦者決定戦に進出し、右ブロックからの出場者と三番勝負を戦うのですが、その右ブロックには1組2位の羽生善治三冠がいます。
かたや四半世紀に渡って将棋界に君臨する第一人者と、かたやこれからの将棋界を代表するであろう、天才同士。
両者がお互いに勝ち進めば、挑戦者決定戦で当たるという天の采配。
羽生三冠には永世竜王、ひいては永世七冠がかかっており、今年の竜王戦の最高潮にすらなりかねない歴史的激突。
そして最後に待ち受けるのは、竜王戦の申し子・渡辺明竜王。
竜王獲得通算11期を誇る、将棋界ただひとりの永世竜王の有資格者。
2016年度末には永世棋王の資格も得て、王者としての貫録は申し分なし。
以上の7名の棋士に勝てば、空前絶後の「中学生竜王」が誕生します。