形作りすらさせない驚異の切れ味! 藤井聡太四段が公式戦28連勝で最多連勝記録に並ぶ!
2018/04/25
藤井聡太四段が第67期王将戦一次予選で、澤田真吾六段に勝ち、プロデビュー以来負け無しの公式戦28連勝。
30年破られることのなかった、神谷広志五段(当時)の持つ最多連勝記録である28連勝に並び、歴代1位タイとなりました!
藤井四段が勝つたびに、我がことのように嬉しいのは何故だろう?
もうとにかくすごいことが現実に起こり、今自分たちが歴史の生き証人になっているのは間違いありません。
最大の難敵を迎えて
将棋の史上最年少棋士、藤井聡太四段は、大阪市福島区の関西将棋会館であった第67期王将戦1次予選で澤田真吾六段に99手で勝ち、神谷広志八段が1987年に達成した歴代1位の連勝記録、28連勝に並びました。写真特集で→https://t.co/GnG1nAcc7q pic.twitter.com/oxsJeOsCq7
— 毎日新聞写真部 (@mainichiphoto) 2017年6月21日
終わってみれば、当たり前のように28連勝を達成した藤井四段ですが、本当に勝てるかどうか不安だった人は多かったはずです。
なぜなら澤田六段とはすでに一度戦っており、藤井四段が勝ったものの、負けていてもおかしくない内容でした。
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大平武洋六段は「棋譜を見た感じでは、澤田六段が勝つ可能性が高い」とブログに書いており、プロの目では澤田六段の方が地力が上だという評価なようです。
当の澤田六段も「僕は悪役でいいので、皆さん、藤井四段を応援してあげて」(中日新聞より)とインタビューで答えており、つまりは「日本中が藤井四段の味方をしたとしても、勝つのは自分だ」と言っているわけです。
戦型は再び角換わり
その自信を証明するが如く、後手番の澤田六段が2手目△8四歩と指し、藤井四段の十八番・角換わりを受けて立ちます。
6月2日の指し直し局では▲4八金・▲2九飛型に構えていましたが、本局は▲5八金・2八飛型に組み、後手の攻めを反撃する展開に進みます。
モバイル中継の感想戦のコメントを読む限り、後手の攻めは「正しく指せていれば成立していた可能性が高い」です。
ただ、本譜は澤田六段が飛車先の歩を突き捨てなかったために、その分攻めが細くなり、藤井四段の反撃が厳しくなりました。
形作りすらさせない収束
お互い目一杯駒を捌き合ったあと、69手目▲6四角が八方睨みの好手。
▲5四桂を狙いつつも5五銀と8六歩にひもをつけ、後手玉の寄せを見せつつ後手からの反撃を未然に封じているわけです。
そのまま藤井四段が順調に澤田玉を追い詰め、終局間際に、澤田六段は先手陣に銀を打ち込みました。
先手がこの銀を取れば後手玉に自動的に詰めろがかかり、つまりは負けを悟った澤田六段の「形作り」の一手というわけです。
ですが、藤井四段はその銀には目もくれず、既存の手駒だけであっという間に寄せ切りました。
形作りすらさせない切れ味を見せつけ、連勝記録最多タイに花を添える決め方でした。
詰めかけた報道陣も最多記録更新!
本局は14歳の天才少年が、30年振りに最多連勝記録に並ぶかもしれない将棋とあって、集まった報道陣もまた最多記録!
日本将棋連盟の広報担当によると、会館に詰めかけた報道陣は25社80人。
15日の名人戦順位戦C級2組、瀬川晶司五段(47)戦で、連勝記録を26とした際の約70人を上回り、1981年の会館完成以来、最多記録を更新した。
(画像:14歳藤井四段 歴代最多タイ28連勝!30年ぶりの偉業より)
しかも最多タイでこれだけ集まったなら、最多記録更新がかかる次の対局は、もっと多くの報道陣が詰めかけるのでしょう。
6月26日の第30期竜王戦決勝トーナメント1回戦、対局相手は増田康宏四段です。
もしこの対局に勝てば29連勝で最多連勝記録を更新し、さらにその勝利の先には「中学生竜王」という空前絶後の偉業の可能性すらあるのです。