加藤一二三 藤井聡太

ひとつの歴史が終わり、またひとつの新しい歴史が始まった2日間

史上最年少14歳2ヶ月の若さで、藤井聡太四段が正式に四段昇段となったのは2016年10月1日で、その公式戦デビュー局が行われたのは12月24日。

その対局相手は現役最古参棋士、当時76歳の加藤一二三九段。

14歳7ヵ月で棋士になり、18歳でA級八段に昇り、「神武以来の天才」の呼ばれた元祖天才少年。

藤井四段がその記録を塗り替えるまで、62年に渡って史上最年少記録を保持していました。

行く者と去る者の歴史的交錯

将棋の神様が導いたのか、それとも互いが持つ稀有な才能が互いを引き寄せあったのか。

将棋史上最高年齢差(62歳差)の対決ということもあり、竜王戦6組予選1回戦という、普段ならまず日のあたることのない対局に大勢の報道陣が詰めかけました。

この将棋は将棋世界2017年3月号で大々的に観戦記が9ページ、加えて対談の完全版を収録し、そして両対局者が表紙まで飾りました。

そして毎年6月号お馴染みの企画、「熱局プレイバック(2016年度)」でも6位にランクインしました。

この将棋は、加藤一二三九段の伝家の宝刀「相矢倉」を、後手の藤井四段が対談での宣言通りに受けて立ちました。

加藤九段の全盛期を彷彿とさせる激しい攻めを、藤井四段がガッチリと受け止め、反撃の手番を得てからはあっという間に寄せ切ってしまいました。

今になって思えば、この対局での勝利から、日本中を熱狂させる「藤井聡太フィーバー」が始まったのです。

「行く者」と「去る者」の運命

「行く者と去る者の歴史的交錯」と銘打たれた対局から半年が経ち、将棋界を「行く者」と「去る者」の運命が分かれました。

2017年6月20日(火)、加藤一二三九段の引退が正式に決定。→加藤一二三九段の引退が決定 最後まで加藤流を貫いた一局

2017年6月21日(水)、藤井聡太四段がプロデビュー以来負け無しの28連勝を達成し、最多連勝記録歴代1位タイに並ぶ。→形作りすらさせない驚異の切れ味! 藤井聡太四段が公式戦28連勝で最多連勝記録に並ぶ!

ひとりは偉大な足跡を残して公式戦から身を引き、ひとりは次代の将棋界を背負う存在となるべく勝ち続けています。

将棋史を語る上で重要な意味を持つ対局が2日続けて行われたところに、ひとつの歴史が終わり、またひとつの新しい歴史が始まったことを感じさせます

-加藤一二三, 藤井聡太