藤井聡太四段の「四段昇段の記」が、中学生が書いたものとは思えない
2017/04/02
将棋世界の11月号といえば例年、新四段棋士の「四段昇段の記」が掲載される号です。
藤井猛九段が銀河戦で優勝し、その自戦記を目当てに今月号を買いましたが、実は本当の狙いはこちら。
藤井聡太四段がパーっと取り上げられると思って、前々から買うと決めていました。
Contents
予想外の例年通り
(画像:日本将棋連盟より引用)
しかし、ぼくの期待というか予想はハズレました。
62年振りに最年少四段記録を塗り替え、史上5人目の中学生棋士が誕生したとあって、どれくらいの取り上げ方をするのだろうと楽しみにしていたのですが、特段珍しいものではありませんでした。
カラーページで藤井聡太四段と大橋貴洸四段が握手しているいつもの写真(上に引用した画像とは微妙に違いました)と、両名の「四段昇段の記」だけ。
ぼくはてっきり、藤井聡太四段が今月号の表紙を飾るんじゃないかと思っていたくらいなのですが、例年通りというか、意外に普通な感じでした。
藤井聡太四段の「四段昇段の記」
藤井聡太四段の「四段昇段の記」を読みましたが、たかだか14歳の少年が書いたとは思えない文章でした。
文章がかなりしっかりしていて、それは、文才に長けた大人が手を入れたからかもしれない。
でも、本当にすごいと思ったのは別のところにあって、その箇所を一部引用します。
3月に二段に上がったとき、師匠からは「10月の三段リーグまでに上がるように」と激励していただいた。
(略)
三段に上がったのはリーグ開始にギリギリ間に合わない10月18日だった。
昇段が決まったときは、ほっとした。
しかし半年の遅れを取り戻すつもりで気を引き締めて進んでいきたい。
若干14歳で棋士としてのキャリアをスタートさせたところなのに、「半年間の遅れを取り戻すつもり」という認識があるのがすごい。
ぼくが中学生の頃は、時間は無限にあると思っていました。
世間から見れば、彼の言う「半年間の遅れ」など、遅れたうちにも入らない。
62年振りに最年少四段記録を塗り替え、14歳にして棋士という「社会的地位」を手に入れた、本物の天才少年にしか映らない。
他人よりも遥かに早く棋士になったのに、それに驕らない。
それどころか、「もっとできたはずだし、もっとできるようになろう!」という気骨がある。
将棋一筋で生きてきたことが凡人にも伝わってくる。
そりゃあ、将棋史上最年少で棋士になれるのも道理です。