藤井聡太四段、神業的な勝ち方で順位戦2勝目!
2018/03/17
ついに連勝記録が止まってしまった藤井聡太四段。
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本局はいわば仕切り直しの一局であり、なおかつ順位戦昇級をかけた負けられない将棋でもあります。
連勝は止まってもまだ藤井人気は顕在で、ピークほどではないものの、30人の報道陣(参照記事)が詰めかけました。
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第一人者の伝統
(画像:通算30勝 初黒星後、順位戦で勝利より)
先手番の藤井四段は居飛車穴熊に組み、中田功七段の伝家の宝刀「コーヤン流」を受けて立ちました。
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将棋界には、「第一人者は相手の得意戦法を避けない」伝統があります。
もちろんただ受けて立つだけでなく、途中は多少苦しくとも、最後には勝っていてこそ第一人者です。
なので、これからの将棋界を背負うであろう藤井四段には、是非とも穴熊に組んだ上で勝ってほしいと思っていました。
ですが、将棋が始まってみるとやはり、経験の差は大きかったです。
本家コーヤン流の捌きをモロに食らい、夕食休憩のあたりまでは苦戦気味でした。
それでもなんとか隙を突いて反撃し、なんとか後手玉が見える形に持ち込みます。
勝利を呼び込んだ神業
藤井四段が角を犠牲に金を取ったのが、90手目△6四同銀(その金を取り返した)までの局面なのですが、ここからの藤井四段の指し方が圧巻のひとことです。
90手目△6四同銀以下の指し手:▲7四桂△9八歩▲同玉△8六桂▲9九玉(下図)
寄せを覚悟で桂馬を跳ねて後手玉に詰めろをかけ、さらに「打ち歩詰めの形に持ち込んで後手の攻めを凌ぐ」という神業を魅せてくれます。
この指し筋だと、歩か角か桂馬以外の駒を渡した瞬間に、負けがほぼ決定します。
なので常人には怖くて指せない手順なのですが、大丈夫だと読み切って指せるのが藤井四段なのです。
いかにも寄ってそうな局面なのに寄りが無いことに動揺したのか、中田七段の次の手が消極的で、ここで勝負あり。
後手の攻めを丁寧に面倒を見て受け切り、一手違いの局面に持ち込んでからあっと言う間に寄せ切る、いつものパターンで勝ち切りました。
すごい勝ち方だった
終局後、藤井四段は「途中、ちょっと苦しくしてしまったと思っていましたがこちらの勝負手が結果的に奏功しました」と語りました。
勝負手というのは、おそらく前述の一連の手順のことでしょう。
それにしても、すごい勝ち方でした。
打ち歩詰めの順で詰みを逃れて勝つというのは、詰むや詰まざるやの状況では稀に聞きます。
でも本局のような、「打ち歩詰めの形のまましばらく将棋が続く」のは、初めて聞くかもしれない。