羽生善治

羽生善治棋聖 不調の中の逆転防衛

2016/10/04

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(画像:棋聖戦中継ブログより引用)

第87期棋聖戦で挑戦者の永瀬拓矢六段を3勝2敗で下して防衛に成功した羽生善治棋聖。

羽生さんがタイトル戦で勝つのは今に始まったことではありませんが、今年上半期の羽生さんはいつもの羽生さんではありませんでした。

棋聖戦開始前、羽生善治三冠は大不調の最中にいました。

あまりの完敗ぶりに愕然とした棋聖戦第1局指し直し局

2015年度末の王将戦では、郷田真隆王将を相手に奪取に失敗。

年度が明けてからの名人戦では、佐藤天彦八段(当時)を相手に失冠。

公式戦連敗は止まらず、しかも挑戦戦の永瀬拓矢六段にはそれまで3戦全敗。

挙げ句の果てに、第1局の指し直し局では完敗を喫し、このままズルズルと負け続けるのではないかと心配になりました。

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(↑)羽生棋聖が一直線に攻めた結果、駒損な上に攻めが切れ、事実上勝ち目が無くなった局面(第1局)。

一直線に自爆するように負けたこの将棋を見て、どちらかといえば永瀬六段を応援していたのに、ぼくは愕然としました。

こんなに内容の悪い羽生棋聖の将棋を、今まで見たことがなかったからです。

プロの目から見ても大不調だった

たかだかアマ三段程度のド素人のぼくですら、内容の悪さが分かったくらいです。

なので当然、プロにもそれは分かっている話で、鈴木大介八段は将棋世界 2016年8月号で以下のように語っています。

最近の羽生さんは、横歩取りと矢倉で前例を離れたとき、互角か差をつけられているパターンがほとんどです。

後者の方が多く、中盤以降の競り合いになる前に斬られている。

もちろん修正してくるかもしれませんが、これは気がかりです。

●引用:将棋世界 2016年8月号

そして完敗を喫した第1局の指し直し局も、案の定矢倉でした。

第2局でようやく勝ち、自身の公式戦連敗をなんとか6で食いとめます。

第3局で立会人を務めた藤井猛九段は、その観戦記で1,2局を見た感想を以下のように記しています。

羽生さんは第1局の内容が芳しくなかったので、ヘタしたら0-3で失冠もあるかなと思っていました。

ただ後手番の第2局がさすがの内容で、強かった。

叡王戦の予選も突破したし、復調気配なのかな、と。

直前のA級順位戦を負けたのは不安材料でしたけどね。

●引用:将棋世界 2016年9月号

藤井九段が3タテで負けると思ったくらいですから、それだけ第1局の内容は酷かったということです。

そうです、普段の羽生棋聖なら、相手の得意戦法を受けて立ち、真正面から蹴散らしていたはずです。

1勝1敗で迎えた第3局では、羽生棋聖が終盤まで優勢に進めながら、最後の最後で逆転負けを喫し、カド番に追い込まれます。

最近、羽生さんは終盤で逆転負けすることがあるのが気にかかります。

まるで私のように(笑)。いや、ホントですよ。皆さんも見たことがないでしょう。

(略)

さらにいうと、終盤だけじゃなくて序盤や中盤の内容も決していいわけじゃない。

これが並の棋士なら、「横歩取り対策に悩んで全体的にバランスを崩している」という論調になるところです。

(略)

ただそれは並棋士のパターン。羽生さんは並ではないので、どうなのでしょうか。

失冠した名人戦もそうですが、以前の羽生さんなら相手の得意戦法を蹴散らしたと思うんです。

だって天彦さんが横歩取りをやることは分かりきっているのだから、作戦を用意しておいて、普通に叩き潰す。

わかっていながら有効な対策を打ち出せずに負けるというのはガッカリというか、なぜかということですよね。

いままでそんなことはなかったでしょう。

●引用:将棋世界 2016年9月号

と、普段は書かれることのないようなことを2ヶ月連続で書かれながら、第4,5局で連勝して防衛します。

中原流急戦矢倉、一手損角換わりというあまり指さない戦法で力将棋に持ち込み、攻めも冴えていました。

棋聖戦就位式

羽生さんらしくない将棋と、羽生さんらしい土俵際での勝負強さという両面が見られたシリーズから早2ヶ月。

暑かった夏がいつの間にか終わり、就位式が行われる季節になりました。

【第87期棋聖戦就位式】
日時 10月28日(金) 午後6時30分~
会場 セルリアンタワー東急ホテル
会費 1万円
申込〆切 10月20日(木)
特典 参加者全員に羽生棋聖揮毫の扇子を進呈

就位式は、羽生棋聖に直で会って交流する貴重なチャンスです。

-羽生善治