ネット中継将棋観戦記

3局連続で(菅井流)角交換振り飛車になった王位戦第3局

2017/08/09

第58期王位戦第3局は、2連勝スタートの菅井竜也七段が、第1局に続いて角交換振り飛車を採用しました。

ゴキゲン中飛車の出だしから、6手目に△5二飛ではなく△3二飛と振り、角交換してから向かい飛車に振り直す、菅井七段のオリジナル戦法。

いわばゴキゲン三間飛車(仮)は、菅井七段が2017年に入って立て続けに採用して勝利しており、羽生王位の対策に注目が集まります。

羽生王位の対策:筋違い角

羽生王位は第1局では、自分は銀冠に組むけど、角を自陣に手放してまで相手には銀冠に組ませない指し方で対抗しましたが、結局は相穴熊に落ち着き、玉頭戦の末に押し切られて負けました。

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それと全く同じ出だしで始まった本局は対策を練り直し、▲7七銀・▲7八金+筋違い角という布陣に構えています。

この筋違い角の狙いは単純明快で、「後手の3四歩を掠め取る」ことです。

直接的な狙いはそれですが、角を手放して1歩手に入れたくらいでは大した戦果ではありません。

裏を返せば、これをやられたときの振り飛車側の指し手のコツは、無理に3四歩を守ろうとしないことです。

居飛車側の継続手2パターン

居飛車側の本当の目的は、3四歩を取った後の指し手にあり、そのパターンは2つあります。

  1. 角を一旦自陣に引っ込めてから、3筋の歩を伸ばして桂頭を攻める
  2. 1筋を伸ばし、角筋を活かして香車を狙う

これらの攻め筋は角交換振り飛車の将棋では常に付き纏うものですが、少なくともプロの間では頻出することはありません。

なぜなら、狙いが単純であるがゆえに攻めが単調になりがちであり、振り飛車側からすれば対策しやすいのです。

菅井七段の主張:攻めている場所の違い

もっとも、それを承知で羽生王位が採用したということは、それなりの勝算があるということ。

本譜では、羽生王位は2を選択し、1筋の歩を突いて「このまま何もしなければポロっと香車を取るぞ」と後手を牽制します。

先手の攻めをまともに食らえば駒損が拡がるばかりで振り飛車に勝ち目はありませんが、この攻め筋は意外と手数がかかるので、その間に別のところで主張を作ればいいのです。

菅井七段は銀を天王山に進出させ、さらに自陣の桂馬を動員し、さらには端歩まで突いて、いきなり先手陣に襲いかかりました。

取られそうだった桂馬を精算したあとは、美濃囲いの弱点である端からだけでなく、コビンからも攻めの継続を図ります。

先手が攻めているのは後手陣の反対側、後手が攻めているのは先手陣ということで、菅井七段は駒損を甘受する代わりに攻めている場所の違いを主張しています

1日目終了局面

ただし、先手の攻めが間に合うまでに攻めかかった菅井七段ですが、それが成立しているかどうかはまた別の話。

上図が1日目終了時の局面ですが、指し手に苦労が多そうなのは後手。

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