ネット中継将棋観戦記(藤井聡太四段)

藤井聡太四段が小林裕士七段に勝ち、勝率1位に返り咲く

10月19日(木)に行われた第59期王位戦予選2回戦▲小林裕士七段 vs 藤井聡太四段戦は、110手までで藤井聡太四段が勝ちました。

藤井四段にとって、小林裕士七段との対局は2局目で、初手合いはプロデビュー以来の連勝記録を塗り替えたときの対局以来でした。

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盤上最も強い手で戦う藤井将棋

(画像:AbemaTIMESより)

将棋界屈指の早見え早指しタイプの小林七段との対局とあって、序盤から猛スピードで駒組みが進みます。

相掛かりの将棋から小林七段が▲5五歩と天王山を確保したことで、局面が動きます。

この手の意味は、いまいち働いていない右銀を3六から4五→5六へと転進させること。

さらには▲3六歩から桂馬を跳ね、玉を矢倉に入城させれば、先手十分の布陣が完成します。

なので藤井四段は27分の長考の末に、そうはさせじと△5四歩と突き返し、一番強い手で反発します。

藤井聡太四段といえば、相手の得意形を堂々と受けて立つ棋風ですが、この手のように、盤上最も強い手で戦うのも藤井将棋の特徴。

この手をもって昼休憩に入り、予め注文しておいたお好み焼き定食(←お好み焼きをおかずに飯を食う)で英気を養います。

決め手?の詰めろ飛車取り

お互い不安定極まりない玉形の中、藤井四段が一番強い手で反発したものですから、当然中央で激しい駒がぶつかり合います。

本局の白眉は、小林七段が81手目▲5四角と打った局面。

この手を見て、解説の高野六段は「小林七段のパンチが入った」と言い、決め手級の一手であると解説されていました。

この手は▲4三角成からの詰めろと、8一の飛車取りの両狙いであり、見るからに厳しそうな一手です。

ゆえに藤井四段が次に指した△3二銀に関してはそれまで一切の解説もなく、しばらくは「飛車は取られるけど仕方ない」的なニュアンスでした。

ところが検討を続けるうちに、次第に「粘りのある受けで大変」と評価が変わっていきました。

藤井聡太四段だけに見えていた妙手

そう、この△3二銀が藤井聡太四段にしか見えていなかった妙手で、この手で後手は互角以上に指せるのです。

これは高野六段だけでなく、モバイル中継の解説でも似たようなもので、棋士の誰もが「飛車を取られて後手が勝てない」と思い込んでいたのです。

実はこの手をソフトは発見していたらしく、コメント欄には△3二銀の符号が乱舞していました。

▲5四角は確かに詰めろ飛車取りですが、飛車を取られたとしても、後手陣が妙にしっかりしていて(いわゆる「急所が見えない」形)、△7七歩成からの反撃が間に合うのです。

形作りも早指し

あの早見え早指しの小林七段も長考に沈み、約30分の考慮の末に、飛車を取ってから▲7六歩の中合いをひねり出します。

後手玉を寄せる手はないけど、先手玉に迫る手も乏しい隙を突き、右辺に逃げだして粘ろうとします。

しかし藤井四段は王手馬取りをかけて自陣を安全にしたのち、最後は藤井四段が気付きにくい筋から寄せ切りました。

早指しの小林七段は形作りの指し手も早指しで、102手目△4八角からパタパタと手が進み、あっという間に終局しました。

勝率1位に返り咲く

本局の勝利により、藤井聡太四段の2017年度成績は43戦37勝6敗(勝率:0.860)となりました。

過去の6敗はすべて20代棋士に敗れていたが、30歳以上の棋士に対しては無敗を守りきった。

また、年度成績では対局数、勝数、連勝で首位を独走していたが、勝率で首位を走っていた豊島八段が敗れたため、勝率でもトップに躍り出た。

(引用:AbemaTIMESより)

6敗目を喫した後からは8連勝で、勝率も中原誠十六世名人の持つ歴代最高勝率を再び上回っています。

藤井四段は王位戦の次局で、北浜健介八段と戦います。

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