羽生善治

前人未到の「永世七冠」を本当にやってのけてしまった羽生善治竜王

羽生善治棋聖が前人未到の「永世七冠」を達成し、一夜明けた本日2017年12月6...いや、さらに日付が変わって12月7日(木)。

我が家で購読している読売新聞が竜王戦のスポンサーとあって、すごい取り上げ方です。

羽生棋聖が初めて獲得したタイトルが「竜王」で、それが平成元年のこと。

それから28年の月日を経て、始まりのときと同じく「竜王」を獲得することで「永世七冠」の偉業を成し遂げた。

「羽生善治」という棋士の人生はまさしく、そのまま平成の将棋史そのものでもあるのです。

お互いにイマイチだったゴールデンカード

将棋世界 2017年12月号(第1局の観戦記)にもにも書いてあったことですが、竜王戦開幕前は、渡辺竜王も羽生棋聖も、とてもじゃないけど本調子とはいえない状況でした。

羽生棋聖は今年度開始時に三冠(棋聖・王位・王座)だったのが、8月に王位を、10月に王座を失冠し、13年振りに一冠のみに後退していました。

渡辺竜王も後輩棋士相手になかなか勝てず、白星が集まっていませんでした。

関連記事:後輩相手に連敗が止まらない渡辺明竜王

そんなイマイチ同士が相まみえたものだから、開幕局は羽生棋聖が無理気味に攻め込み、それを渡辺竜王が咎め損ねて負ける、という感じの印象を受ける内容でした。

とてもじゃないけど、ゴールデンカードによる永世七冠が懸かったシリーズの将棋とは思えませんでした。

永世七冠へと導いた一手

ところが第2局では羽生棋聖が△7七桂打!の強手から、取れる駒を取らずに逃げる△4九竜!の妙手で攻めをつなぎきり、最後は大差をつけて勝ちました(→将棋世界 2018年1月号に観戦記あり)。

今思えば、この将棋が両者のターニングポイントでした。

この△4九竜という手が、いかにも羽生棋聖らしいふんわりとした感触の、常識に囚われない柔らかい発想の妙手で、この手を指せたことが永世七冠につながったように思えます。

第3局では羽生棋聖が負けたものの、シリーズを通して、羽生棋聖の攻めと渡辺竜王の受けという構図でしたが、渡辺竜王の方が受け一方になり、ことごとく一手届かない、といった感じでした。

タイトル通算99期

羽生棋聖は永世七冠達成と同時に、タイトル獲得数もいよいよ99期になりました。

さすがに「永世七冠&100期」の同時メモリアルとはいかなかったけど、100期達成の楽しみをまた来年も味わえると思えば味がいい。

羽生棋聖と渡辺竜王の対戦成績も、2016年度終了時には34勝34敗のイーブンでしたが、この竜王戦終了時点で羽生棋聖から見て40勝35敗と差がついています。

竜王戦での5局以外に、今期は銀河戦とA級で1局ずつ戦い、いずれも羽生棋聖の制勝。

この2人もいつかはゴールデンカードの証である「百番指し」を達成するとは思いますが、そのときに成績はどうなっているでしょうか。

将棋界のスーパースター

(画像:竜王戦中継ブログより)

正直、今年度の夏あたりまで、羽生棋聖が渡辺竜王に勝てるとは思っていませんでした。→羽生善治三冠が「国民栄誉賞」を授与されていたかもしれなかったお話

羽生棋聖ほどのスーパースターなら、永世七冠を達成できずに終わるとは思えませんでしたが、47歳になって、14歳年下の、棋歴的に脂が乗り切った年代である渡辺竜王に番勝負で勝てる道理はない、と思っていました。

でも違うんですね。

羽生棋聖は、いや羽生竜王は、将棋界が生んだまごうことなきスーパースターでした。

藤井フィーバーが起こった年に達成されるというのが、なんとも運命的というか、さすがスターというか。

局後の会見で、「今回が最後(のチャンス)かもしれない」と発言が印象的でした。

記録にはこだわらない羽生竜王の口から、しかも年齢的な限界を意識するようなことを聞いたのは初めてのような気がするので。

-羽生善治