伊奈めぐみ 森内俊之

伊奈めぐみさんはかつて、森内俊之八段(当時)に将棋で勝ったことがある

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(画像:『将棋の渡辺くん』インタビュー【後編】より)

将棋の渡辺くんの著者であり、渡辺明竜王の奥様でもある伊奈めぐみさん。

実はめぐみさんは、森内俊之八段(当時)に将棋で勝ったことがあるのです!

この手の記事にありがちな、お得意(?)の大富豪とか別のゲームの話ではありません。

紛れもなく将棋で、しかも平手で、です。

将棋雑誌の企画

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(画像:竜王戦中継ブログより引用)

今は無き将棋雑誌、将棋マガジン1996年1月号の「佐藤康光&森内俊之のなんでもアタック」という企画で、両者がアマチュア相手に目隠し将棋三面指しをすることになりました。

将棋ペンクラブログ:森内俊之八段-伊奈めぐみさん戦

そのときに森内俊之八段(当時)の対局相手の1人として選ばれたのが、伊奈めぐみさんでした。

当時のめぐみさんは中学3年生で、連盟道場アマ初段、髪型はベリーショート。

めぐみさんは1996年に女流育成会に入会するので、その前年ですね。

森内八段はその年に、25歳にしてA級棋士になった新進気鋭の若手棋士。

しかも、A級1年目で名人戦挑戦者となり、七冠時代の羽生善治名人(当時)に挑みます(結果は1勝4敗で敗退するも、内容は僅差だった)。

目隠し将棋の落とし穴

目隠し将棋で多面指しというのはプロでもきついはずの条件ですが、なぜか手合いは平手!

強くてもたかだかアマチュア四段程度の素人にプロが負けるはずもなく、めぐみさん以外の5人はあっさり負けてしまいます。

では、なぜめぐみさんが勝てたのか?

実際の棋譜を見てみましょう。

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駒割りは後手の角香得。いうまでもなく、後手の必勝態勢である。

森内八段、ここで少し考えた。△6六角、△4八香。勝つ手はいろいろある。

意地悪く指すなら△5一金打もある。いずれにしても、あと数手で先手投了という場面だ。

「△4七香」。森内八段の声。

一瞬、周りの人間が息を飲んだ。

△4八香のいい間違いと思ったが、もう一度「△4七香」。

十秒ほどの沈黙。記録係の勝又初段が申し訳なさそうに言った。「指せません」。

「えっ」と叫んだ森内八段だが、すぐに「あ、そうか」といって、天を仰いだ。「4筋の歩は突いてなかったんですね」。

(引用:森内俊之八段-伊奈めぐみさん戦より)

お察しの通り、「森内八段が反則負けをやらかしたので、めぐみさんに勝ちが転がり込んできた」という、ベタベタなオチです。

そりゃそうです。

そうでもなければ、バリバリのトッププロがアマチュア相手に、平手で戦って負けるはずがありません。

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(*)将棋の渡辺くん 第2巻

渡辺明竜王いわく、目隠し将棋の多面指しは「頭の中で複数の盤をスライドさせている感じ」で、一局ごとの盤面を全て覚えているわけではないそうです。

重点的に覚えているのは、「駒がぶつかっているところ」と「自玉の守り」くらいで、持ち駒の歩の数は適当だったりするそうです。

なので、森内八段も別の2局(その2局とも振り飛車で、4筋の歩を突いた美濃囲いだった)と局面がごっちゃになってしまったのも、やむを得ないことなのです。

めぐみさんの強運

ともあれ負けは負けなので、森内八段はプロらしく潔く投了しました。

直後の打ち上げの席でめちゃくちゃ悔しがったそうです。

→【「森内俊之八段-伊奈めぐみさん戦」のその後

伊奈めぐみさんは、目かくし将棋の平手で森内八段に反則勝ちをしたという、誰もが絶対に巡りあえないような経験をした強運の持ち主ということになる。

(引用:森内俊之八段-伊奈めぐみさん戦より)

思えばめぐみさんは、結婚相手が後の初代永世竜王で、普通の主婦をしていたら漫画家デビューすることになったりと、一般人ながら一般人離れした強運を持っています。

桁違いの才能を持つ旦那と、一般人離れした強運を持つ奥様。

男女の縁は、目に見えない何かに引き寄せられているのだろうか・・・。

-伊奈めぐみ, 森内俊之