ネット中継将棋観戦記(藤井聡太四段)

藤井聡太六段、棋王戦決勝トーナメント進出まであと1勝!

4月24日に行われた第44期棋王戦予選で、藤井聡太六段が大石直嗣七段に勝ち、予選8組決勝まで勝ち上がりました。

藤井六段は2018年度に入ってからこれで3連勝!

そしてあと1勝すれば、前期に続いて棋王戦決勝トーナメントへの進出がきまります。

VS.ダイレクト向かい飛車

(画像:AbemaTIMESより)

藤井六段の先手番で始まった本局の戦型は、大石七段十八番のダイレクト向かい飛車。

角打ちから力戦になる定跡もありますが、藤井六段が選んだのは悠然と囲う▲6八玉。

藤井六段は玉頭位取りもどき、大石は片銀冠に組み、持久戦に進みます。

駒組合戦の末に、充分に組み上げたのは藤井六段。

しかし、その後の指し手に読み抜けがあり、飛車捕獲の常套手段にハマり、やむなく飛車交換をするハメになります。

片銀冠にコンパクトに囲われた大石玉に対し、藤井玉は上部が手厚い代わりに下段がスカスカ。

この陣形差で飛車交換をしたらどうなるかは火を見るより明らかで、藤井六段が苦戦に陥ります。

我慢し続ける藤井六段

飛車交換直後、大石は手番を活かして早速飛車を打ち込みます。

この手に対し、▲8九飛と、あまり見慣れない形で飛車を合わせたのが藤井六段の才能を示した一手。

この手の意味は、仮に△同飛成からもう一度飛車を王手で降ろせば、そこで▲7九歩と打ちます。

するとあら不思議!

一見、玉の位置は7八よりも8九の方が不安定そうに思えますが、絶妙のバランスで寄せにくくなっているのです。

本譜は後手がこの進行を避けたことで、攻防兼備の飛車が先手陣に残りましたが、藤井六段が苦しいことには代わりはなく。

藤井六段は後手の玉頭から攻略しようとしますが、飛車の頭に一発歩を叩かれるのが痛い。

藤井六段は泣きたくなるような我慢で玉の方で取りましたが、すると頼みの飛車が攻めに利かなくなり、万事休すかと思われました。

逆転へのアヤ

勝利をグッと手繰り寄せた大石七段は、一気の寄せは目指さず、まず自陣の憂いを丁寧に消していきます。

勝ちを急がないことは、優勢の将棋を勝ち切るときのセオリーですが、これが本局の逆転へのアヤとなりました。

後手の竜が再び攻めに聞いてきた瞬間、4筋の歩を切ってから▲4八歩と受けたのが、流れを呼び寄せた一手。

先手陣を横から攻略することが困難になった大石七段は、銀を取ってから△8六桂と打ちます。

直接手で藤井玉に迫ろうとしますが、これが普通に見えて不味かった。

▲7八桂と合わせたのが好手で、この手を境に一気に藤井六段が逆転しました。

7八で精算した形が、いわゆるゼロ手で玉をひとつ横に移動できたことになり、眠れる飛車が目を覚ましたのです。

最後はいつもの勝ち方で逆転勝利!

将棋には「一手差は大差」という、ありがたい格言があります。

大石七段からすれば、この混戦の終盤にわざわざ一手パスした挙句、相手の働いていない飛車を働かせたのだから、勝てなくなるのも道理というもの。

優勢になってからの藤井六段の指し回しは、いつもの通り盤石そのもの。

後手の最後の頼みである竜を激辛の一手で封じ込め、暴れてきたところを丁寧にいなして受け切り。

最後も、一見詰みそうにない後手玉を、あっという間に読み切って仕留めました。

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