羽生善治竜王が先勝! 防衛に向けて幸先のよいスタート
2018/12/22
ついに開幕した、前期に続く歴史的シリーズ!
羽生善治竜王にとっては「タイトル通算100期達成もしくは無冠」が懸かり、広瀬章人八段にとっては「8年ぶりのタイトル獲得」を懸けた、平成最後の竜王戦。
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第31期竜王戦七番勝負第1局は、第1局を羽生善治竜王が制し、防衛に向けて幸先のよいスタートを決めています。
攻める羽生竜王、受ける広瀬八段
羽生竜王が先手番を引き、戦型は角換わり。
近年のタイトル戦としては珍しく、スローペースで指し手が進み、駒がちょっとぶつかったところで1日目が終了。
2日目から本格的に局面が動き、「羽生竜王の攻め vs 広瀬八段の受け」という構図になりました。
こちら↓の画像は、2日目15時ごろにちらっと見たときに、AbemaTVの中継をスクリーンショットしたものです。
飛車角交換をし、さらに羽生竜王の飛車が詰まされており、足を止めれば先手が完封負けしてしまう局面。
羽生竜王は▲4四飛と切り飛ばして手番を握り、▲7三と~▲5三桂成~▲4一飛と、駒損を甘受して激しく攻め続けていきます。
いかにも羽生竜王らしい勝ち方
難解な中終盤を経て、勝敗がハッキリしたのは、広瀬八段が△3五桂と打ち、羽生竜王が▲4九銀と打ったところ。
この一見やむを得ずに打ったような銀打ちが指されたときに、AbemaTVのコメント欄には「羽生竜王が優勢」という主旨のコメントが、津波の如く流れていました。
そしてその通りに、ここから幾許もなく、広瀬八段が投了に追い込まれていきます。
広瀬八段が取れるはずの金を取らずに竜を逃がし、羽生竜王が取られるはずだった金を逃がし、それが(2六の)竜取りの先手になって攻守逆転。
そして最後、羽生竜王は自陣を鉄壁にした後、2一にポツンといた成桂で香車(後手の入玉阻止に役立つ)を補充します。
さらにその成桂を、1二に引いて後手玉の退路を断ち、トドメを刺しました(終局図:竜王戦中継ブログより)。
「最後の最後に遊び駒が寄せに働く」という、いかにも羽生竜王らしい勝ち方でした。
無冠への心配は杞憂だった
七番勝負開幕前の両対局者の勢いは、まさに雲泥の差でした。
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自分が将棋を始めた頃どころか、生まれる前からタイトルを保持していることが当たり前だった羽生竜王が、無冠になるかもしれない。
もし本局で、羽生竜王が大した見せ場もなく負けようものなら、いよいよ無冠へのカウントダウンを覚悟するところでしたが、その心配は杞憂に終わりそうです。
とはいえ、だからといって「羽生竜王にとって楽なシリーズになりそうか?」というと、そんな気配は微塵も感じません。
負けた広瀬八段も手応えは感じているようなので、第二局以降も、一進一退の熱戦が繰り広げられることでしょう。