ネット中継将棋観戦記(藤井聡太七段)

藤井聡太七段が第4期叡王戦敗退! 斎藤慎太郎王座に再び屈する

2018/11/25

藤井聡太七段と斎藤慎太郎王座の、公式戦2度目の対決となった第4期叡王戦本戦トーナメント1回戦。

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両者の初手合は、今年夏の王座戦決勝トーナメント準決勝。

この対局で勝った斎藤七段が、そのまま王座を奪取しました。

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つまり本局は、藤井七段にとってはそのリターンマッチであり、またこの叡王戦が、2018年度内にタイトル挑戦権を手に入れるラストチャンスでもありました。

斎藤王座へのリターンマッチ


初手合のときと同じく斎藤王座の先手番から、両者お得意の角換わりになり、淡々と見慣れた形に進みます。

棋譜(叡王戦特設サイト)

藤井七段が34手目△6五歩と注文をつけ、それまでの先後同型の流れが変わります。

この手は後に△6四角と据える狙いがあり、それが実現すれば、後手は攻めに厚みを持たせながら先手の攻めを牽制できます。

なので先手はそうはさせじと反発し、▲3五歩から桂馬を跳ねて先端を開きます。

48手目△2三銀の局面で、ニコ生の解説を務めていた阿久津主税八段は、「斎藤さんが一本取ってそう」と、先手持ちの見解を示しました。

そこから▲角と△銀桂の2枚換えになり、55手目▲6二角までの局面で夕食休憩に入りました。

斎藤王座が快調に攻め立てる

夕食休憩が明けて早々、先手の狙い筋だった手順に進みます。

先手の馬の存在感が強大過ぎて、銀桂交換の駒損であることなど全く関係なくなっています。

藤井七段はいかにも苦心の末に捻り出しました、と言わんばかりに△8三角と打ち、粘りの姿勢を見せます(もっとも藤井七段は、対局中は好手だと思って指したそうです→*スポニチより )。

私はこのあたりの応酬を、風呂に入りながら棋譜中継で見ていました。

凡庸な脳ミソをふり絞り、「ボロボロと駒損しそうな局面から、損得もなく意外にスッキリしたので、これは藤井七段が持ち直したのではないか?」とか考えていました。

ですが斎藤王座の73手目▲2二歩を見て、全てを察しました。

後手は、巧く銀冠の中に逃げ込めれば容易には負けないのですが、裏を返せば、その退路を絶たれると粘りようがなくなります。

先程の応酬は、「駒の損得よりも、ここで手番を握ることの方が重要である」と、斎藤王座は見切っていたのでしょう。

藤井七段はやむなく△4七銀と攻め合いましたが、桂馬の王手からその銀を味良く払われ、藤井七段が手段に窮していきます。

後手玉が明らかに寄り筋に入り、斎藤王座の快勝で終わる...かに思えたのですが、ところがどっこい!

敗北寸前からの大混戦

敗北寸前でも勝利への執念は潰えない藤井七段が、△3二飛と打ったのが強防で、一気に大混戦になります。

藤井七段は勝負勝負と迫って斎藤王座を焦らせるも、かといって逆転への決定打を与えるには至らない。

この頃にはもちろん秒読みになっているので、互いに時間切れギリギリの着手が頻発し、ニコ生視聴者の心臓を蝕みます。

時間稼ぎの成り捨てを2回(116~123手目)もして、まさになりふり構わず、逆転への活路を求め続けた藤井七段。

ですが、敗北寸前から息を吹き返したとはいえ、その後も少し足りない形勢だったようです。

斎藤王座も、勝ち寸前の将棋を混戦にしたにも関わらず、指し手が冷静で、悪手を重ねるようなことはしませんでした。

最後は、負けを悟ったかのように△5五角と形を作って、首を差し出します。

そして斎藤王座が即詰みに仕留め、長い勝負に決着のときが訪れました。

2018年度中のタイトル挑戦の可能性がなくなる

さすがの藤井七段といえど、やはりタイトル保持者の壁は厚かった。

王座戦のリベンジはならず、藤井七段は斎藤王座に2連敗を喫しました。

藤井七段に2戦2勝した棋士は、菅井竜也七段に続いて、斎藤王座が2人目です。

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これで藤井七段は、2年連続で叡王戦本戦トーナメントの初戦で姿を消すことになります。

そして叡王戦敗退により、年度内に挑戦者になれる可能性が潰えました。

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