【竜王戦第4局】広瀬章人八段、逆転勝ちで2勝2敗のタイに持ち込む!
2018/12/22
羽生善治竜王の2勝1敗で迎えた、第31期竜王戦七番勝負第4局。
本局の先手番は、挑戦者の広瀬章人八段。
羽生竜王が勝てば防衛に王手をかけ、広瀬八段が勝てばタイに戻せる、重要な一戦。
ここまで3局全て角換わりの本シリーズ。
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やはりというべきか、本局も戦型は、4度目の角換わりになりました。
天王山に放たれた妙手△5五銀
本局の見どころは、序盤からも色々あります。
互いに3手損してから開戦(中継ブログ)したとか、先手玉の体当たりの受け(中継ブログの図の次手▲5七玉)とか。
ですが、まずとりあげるべきはやはり羽生竜王の△5五銀でしょう!
先手の攻め(▲4四銀不成から3五で精算しての飛車成り)を受けながら、次に△5六歩と攻める含みを見せた、攻防の銀打ち。
天王山に放たれた、いかにも羽生竜王らしい妙手!
この直前まで、先手が順調に攻めていけそうな雰囲気だったのですが、この一手で攻守が逆転。
それから十数手進んで、102手目△8六桂の局面で、中継ブログでは「終局近し」の声もあり、羽生竜王がこのまま寄せ切りそうな雰囲気でした。
ところが広瀬八段が105手目▲8四桂と打って飛車の縦利きを遮ったのが意外にしぶとく、今思えば、このあたりから徐々に差が詰まっていきました。
流れを引き寄せた飛車打ち、勝利を引き寄せた飛車成り
羽生竜王の攻めが一段落したタイミングで、広瀬八段は▲7二飛と打ちました。
おそらく羽生竜王が軽視していた手ですが、この手のを境に流れが先手に傾いていきます。
金取りを受けながら王手飛車を狙う△5四角という手があるのですが、これには▲7五飛成と引きつける手があります。
この数手後に、飛車を7三に成った手が、広瀬八段の逆転勝ちを引き寄せました。
後手の飛車を責めながら後手玉の寄せ(▲4四銀成)にも利いている、攻防の絶好手。
先手玉に寄りはなく、後手玉には入玉の望みも無し。
▲7三飛成以下、幾許もなく羽生竜王が投了し、局後に「終盤で攻め急いでしまった」ことを悔やみました(中継ブログより)。
...それにしても、この将棋を逆転できるとは、広瀬八段の終盤力たるや!
第5局の勝者が防衛or奪取に先に王手をかける!
両対局者は福知山城天守閣
の対局室に戻り、午後8時21分、感想戦が終わりました。 pic.twitter.com/ny2PORPqTz
— 読売竜王戦 (@yomiuri_ryuo) November 25, 2018
第3局に続いて、見事な逆転勝利で第4局を制した広瀬八段が、スコアを2勝2敗のタイに戻しました。
勝った方が先に王手をかける第5局は、12月4~5日に行われます。
第5~7局は、7~10日くらいの割と短い間隔でスケジュールが進みます。
どちらが勝つにしても、いよいよ決着のときが近づいてきました。
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