4期連続で後輩棋士を挑戦者に迎えることになった渡辺明棋王
2018/11/30
渡辺明棋王への挑戦者を決める、第44期棋王戦トーナメントもいよいよ佳境。
先日、敗者復活戦で三浦弘行九段が黒沢怜生五段に敗れたことにより、挑戦権の行方は以下の3名に絞られました。
(画像:日本将棋連盟より)
渡辺明棋王(1984年生まれ)は、広瀬章人八段(1987年生まれ)、佐藤天彦名人(1988年生まれ)、黒沢怜生五段(1992年生まれ)のいずれの棋士よりも年上です(棋士データベースより)。
これで2015年度から、4期連続で後輩棋士の挑戦者を迎えることになります。
一回り上の世代の棋士との戦い
(画像:将棋の渡辺くん 第3巻
P.27より)
渡辺棋王が20代の頃は、タイトル戦で当たる棋士といえば、基本的に「羽生世代」か「ポスト羽生世代」と呼ばれる棋士がほとんどでした。
ところが2015年の竜王戦で初めて年下の棋士(糸谷哲郎竜王)とのタイトル戦を経験して以降、今では珍しくなくなってきた感もあります。
渡辺棋王もすでに34歳なので、当たり前といえば当たり前ですが、竜王戦では丸山忠久九段(2016年)、羽生善治棋聖(2017年)と戦っており、年上との戦いはまだ終わってはいません。
4期連続で後輩棋士の挑戦を受ける棋王防衛戦
防衛する立場で、初めて年下の棋士を迎えたのが2015年度の棋王戦でした。
この当時に大躍進中だった佐藤天彦八段(当時)の挑戦を、1勝3敗で退けます。
2016年度は、千田翔太六段の挑戦をフルセットの末に退け、5連覇により永世棋王の資格を獲得します。
2017年度、つまり前期は、竜王失冠そしてA級からも落ち、負けたら無冠の危機でした。
しかし、ギリギリのところで踏み止まり、フルセットの末に防衛に成功し、虎の子のタイトルとなった棋王を死守しました。
そして2018年度、上記の3名の中から挑戦権を獲得した1名と、7連覇を懸けて防衛戦を戦います。
約14年間、無冠になったことのない渡辺明棋王
渡辺棋王は2004年に、20歳で初タイトル「竜王」を獲得して以来、無冠になったことはありません。
私は2004年の初タイトル獲得から無冠になったことがないのですが、これは歴代1位の長さで誇れる記録だと思っています。
(引用:増補 頭脳勝負
P.73より)
約14年間もの間、何らかのタイトルを1つ以上保持しており、今期の棋王防衛戦には、その記録の継続も懸かっています。
更には、来月3日に控えている王将戦プレーオフを制して挑戦者になり、「王将」にも復位して二冠王に復帰できるのか?
渡辺棋王が昨年の「33歳の受難」から復活できるかは、これからの数ヶ月の活躍に懸かっています。