記録から見る将棋界

将棋界最高峰の棋戦・竜王戦創設の経緯

2017/11/14

4be867ab

(画像:竜王戦中継ブログより引用)

竜王戦は将棋界最高額4320万円(2016年度)の賞金を誇る棋戦なのですが、今期が第29期と比較的歴史の浅い棋戦です。

将棋界最高棋戦

竜王戦は読売新聞社が主催する棋戦なのですが、以前は「十段戦」という棋戦を主催していました。

それを発展解消させたのが竜王戦なのですが、なぜわざわざ発展解消させてまで新棋戦を創設したのか。

その理由はズバリ、金です。

読売新聞社は、「十段戦」という将棋の棋戦をかつて主催していました。

定員6人のリーグ戦に入ると、一流棋士と計10局(各人と先後2局)も指せるのが、棋士にとって最大の魅力でした。

囲碁の棋戦は「棋聖戦」を主催していました。

1980年代前半のころ、囲碁の契約金は将棋より約2倍も上回っていました。

当時の将棋連盟・理事会は、「将棋と囲碁は、過去の歴史や実績から見て平等である」という見地から、読売に対して十段戦の契約金の大幅増額を毎年のように要求してきました。

引用:「竜王戦が誕生した成り立ちと棋戦名の由来」より

歴史がどうであれ、一営利企業に過ぎない読売には関係のない話。

ところが、両者の思惑が一致し、新棋戦創設へと事態が進みます。

やがて読売は1984年(昭和59年)、連盟の要求に対して「棋聖戦は囲碁界で、席次第1位の扱いを受けている。

しかし十段戦は将棋界で、名人戦に次ぐ扱いである。

契約金の差額はその違いであって、囲碁と将棋を差別しているわけではない。

ただし、読売は将棋界で最高の棋戦を主催することについて強い関心がある」と回答しました。

引用:「竜王戦が誕生した成り立ちと棋戦名の由来」より

つまり竜王戦は、「金が欲しい連盟」と、「将棋界最高棋戦を主催したい読売」の、両者の利害が一致して生まれたわけです。

そうでなきゃ、「将棋と囲碁は、過去の歴史や実績から見て平等である」という、ほとんど難癖みたいな理屈が通るはずがありません。

竜王戦の契約金

十段戦から竜王戦になって、どのくらい契約金がアップしたかというと。

山田 「竜王戦に関しては賞金額をはじめ契約金も公表しているので構わないですよ。読売新聞社では、囲碁界では自社の棋聖戦が一番だから、契約金をアップするなら将棋会でも一番の棋戦にしてくれ、という条件を出したのです。そして将棋界一番で、ということになったので、囲碁の棋聖戦と同額の2億5600万円で契約したのです」

久美 「名人戦より高い契約金となったのですね。十段戦より、どれくらいアップなんですか」

山田 「十段戦は1億2800万円でしたから、ちょうど倍額です」

(引用:「竜王戦誕生秘話」より)

2倍とはすごいですね!

将棋界最高峰棋戦の名はダテではなかった。

竜王戦の名称の由来

なお、竜王戦のネーミングの由来はこちら。

新棋戦の名称については、「棋神戦」「最高峰戦」「巨人戦」「巨星戦」「棋宝戦」「達人戦」「竜王戦」「将棋所」(江戸時代の将棋家元)など、様々な候補が挙がったそうです。

その中で「神」の字は宗教とからみ、「巨」の字はプロ野球チームとの区別でまぎらわしい、などの問題がありました。

結局、消去法で最後に残ったのが「竜王戦」でした。

「竜は古来、中国では皇帝のシンボルで貴いものを表す」「竜王は将棋の駒の中で、最強の働きをする」といった根拠が、棋戦名の由来でした。

(引用:「竜王戦が誕生した成り立ちと棋戦名の由来」より)

「竜王戦」という棋戦名が定着した今となっては、「なんじゃこりゃ?」といいたくなる名称が候補にあります。

消去法で選ばれてよかったですね。

第1期竜王戦は1988年に行われ、米長邦雄永世棋聖を破った島朗九段が初代竜王に就きました。

翌年、19歳の羽生善治竜王が第2代竜王に就き、平成元年という時代も合わせて、新時代の到来を象徴しています。

-記録から見る将棋界