ネット中継将棋観戦記

田丸昇九段の弟子・井出隼平四段がプロデビューから約7ヵ月で初の棋戦優勝!

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(画像:加古川清流戦中継ブログより)

10月29・30日にかけて第6期加古川清流戦決勝戦が行われ、井出準平四段が石川慶太三段を2勝1敗で下して優勝を決めました。

井出四段は田丸昇九段門下で、今年4月に四段に昇段した新米棋士。

新人棋戦とはいえ、プロデビュー後わずか7ヵ月足らずで棋戦優勝を成し遂げたことになります。

井出準平四段、優勝までの軌跡

第1局

井出四段は振り飛車党で、第1局はオーソドックスな四間飛車(出だしは藤井システムも含みにしていた)で居飛車穴熊を攻略しました。

1-de-1

先手が▲2四歩と角道を止めつつ2筋を突き捨てようとした手に対し、井出四段は構わず△6五歩と全然別のところから切り返しました。

これで△3一角と引き、角の利きが穴熊の弱点である端に通るようになり、戦場が右辺から左辺に移ったことで攻守逆転。

第2局

第2局は相矢倉の先手番から後手に攻めさせて反撃するも、スルスルと上に逃げられて捕まらなくなり、無念の敗戦。

決着は第3局に持ち越しとなります。

第3局

その第3局は、先手番でこれまたオーソドックスな三間飛車に振ります。

1-de-2

第1局のように穴熊に潜ろうとする後手玉に対して飛車を4筋に転回し、居玉のまま藤井システム調の攻めを炸裂させて快勝!

奇跡的な昇段

井出四段は今年4月からのデビューで、現在25歳。

奨励会三段の年齢制限が26歳ですから、棋士としてはかなり遅めのデビューをしたことになります。

井出四段が四段昇段を決めたのは第58回三段リーグ(2015年10月〜16年3月)でのことですが、その昇段は奇跡的な確率をものにして果たされたものでした。

第58回三段リーグ(2015年10月〜16年3月)の17回戦と18回戦の対局が最終日の3月5日に東京の将棋会館で一斉に行われ、私こと田丸昇九段の弟子の井出隼平三段(24歳)が昇段への確率が1%弱という厳しい状況で奇跡的な四段昇段を果たしました。

(中略)

井出は今回の三段リーグでも前半で4勝5敗と負け越しましたが、後半で追い込みました。

最終日を迎えた時点で、14勝2敗の都成竜馬三段はすでに四段昇段が決定していて、11勝5敗の渡辺和史三段、佐々木大地三段、大橋貴洸三段、石川優太三段、10勝6敗の石川泰三段、黒田尭之三段、井出三段らが残る1つの昇級枠を争いました。

井出は7番手でしたが、順位の関係で昇段の可能性がわずかにありました。ある人の計算によると、その確率は0.78%でした。

17回戦で井出が池永天志三段に勝つと、上位の4人が敗れたので4番手に上がりました。確率は6.25%になりました。

そして18回戦で井出が藤田彰一三段に勝つと、上位の3人が次々と敗れました。

その結果、順位8位で12勝6敗の井出は、順位下位で同成績の佐々木三段、大橋三段、石川優三段を押さえて2位に入り、奇跡的な四段昇段を果たしたのです。

(引用:田丸昇ブログより)

師匠の田丸九段は2016年3月末での引退が内定しており(実際に引退したのは10月25日)、弟子の井出四段は2016年4月1日付でプロ棋士としての活動をスタートさせました。

そして師匠は竜王戦で白星を重ねて10月末まで粘り、勝負師としての最後の意地を弟子に見せた。

弟子はそのわずか5日後に、初の棋戦優勝を飾った。

これこそが弟子が師匠に送る、最高の恩返しといえるのでしょう。

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