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南禅寺の決戦の伝説 「阪田三吉の△9四歩」を現代の一流棋士たちはどう見る?

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(画像:wikipediaより)

阪田三吉贈名人・王将(1871年7月1日~1946年7月23日)。

明治から大正にかけて、将棋界が実力制に移行する前の時代に活躍した伝説の棋士。

その阪田が晩年に挑んだ大勝負が、いわゆる「南禅寺の決戦」です。

阪田三吉と木村義雄十四世名人の名勝負ですが、後手を持った阪田の2手目が△9四歩と端歩を突いたことで有名な将棋です。

「阪田三吉の△9四歩」を評する6名の棋士

史上名高いこの戦いも、後世の評価はかんばしいものではない。

凡局という人がほとんどで、中原誠のように「いい将棋」と見る人はごく少数のようである。

また、阪田の指し手のは、謎というか、不可解な手がいくつかあり、その評価も難しいということもある。

(引用:将棋世界2014年6月号「評伝 木村義雄」より)

実はこの将棋、阪田三吉の完敗なのですが、それは本題とは逸れるので置いておきます。

ここでは「阪田三吉の△9四歩」について、現代の棋士がどのような評価をしているか、を紹介したいと思います。

今回資料に使った書籍は、将棋世界の人気連載をまとめた「イメージと読みの将棋観 」(2008年出版)という本。

現在でもメンバーとタイトルを変えて連載中ですが、この当時のメンバーはこちら(肩書は現在のもの)。

  • 羽生善治三冠
  • 谷川浩司九段
  • 渡辺明竜王
  • 佐藤康光九段
  • 森内俊之九段
  • 藤井猛九段

今となっては精彩を欠く棋士もちらほらいらっしゃるあたり、時代の流れが感じられます。

「阪田三吉の△9四歩」をとがめるのは難しい、けど・・・

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超豪華な棋士6名に対して、出された設問を抜粋します。

初手▲7六歩に対して△9四歩。

阪田三吉が木村義雄との対戦に用いて有名になった2手目の奇手に対し、現代のトップ棋士はどんな見方をするのか。

2手目△9四歩は悪手か?これをとがめる手はあるのだろうか?

「2手目△9四歩」をとがめる手はあるか?が設問の意図。

これに対し、6名の棋士の考えの一部を引用します。

羽生 的確にとがめるのは難しいような気がします。(中略)ただ、後手を持ってこの作戦を指すメリットがあるとは思えません。相手をびっくりさせる効果しかないんじゃないでしょうかね(笑)

佐藤 何かとがめる作戦があるような気がしないでもないが、具体的には難しい。(以下略)

森内 基本的にはどんな指し方をしても、先手が少し指しやすくなると思う。ただ、将棋は元々先手有利のゲームなので、後手がよくならないからといって、△9四歩が悪手とは限らない。(以下略)

谷川 ここ(注・2手目)から▲2六歩△3四歩となってしまうと、一手損角換わり風の展開になってしまう。それでは△9四歩をとがめにくいので、▲2六歩は突きにくい。(以下略)

渡辺 ここ(注・2手目)から▲2六歩△3四歩と進むと現代の一手損(角換わり)と同じになるので、▲5六歩と突きたい。(以下略)

藤井 ここから一手損角換わりに持ち込まれると、△9四歩をとがめたことにならない。▲2六歩△3四歩となると、その可能性大。(以下略)

それぞれの答えとして共通しているのは「△9四歩自体をとがめることは難しい」ということ。

このテーマが出された当時は「一手損角換わり」が流行していた時代で、それに合流すると面白くない。

だから先手は居飛車ではなく、振り飛車(特に▲5六歩から中飛車)にすれば少し指しやすいのではないか?というのが多数意見。

ただし、2手目△9四歩自体が有力な手か?というと、そういうわけではないようです。

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