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竜王を獲得する8ヵ月と2日前の糸谷哲郎六段(当時)

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(画像:竜王戦中継ブログより)

将棋世界2014年6月号に掲載された企画「森信雄一門昇級者座談会」(構成:田名後健吾氏)にて、竜王になる前の糸谷哲郎六段(当時)がその対談に参加しています。

企画の意図は、2013年度の順位戦で昇級を果たした糸谷哲郎六段・大石直嗣六段・澤田真吾五段が、その師匠の森信雄七段を加えて2013年度を振り返る、というもの。

取材日は2014年4月2日。

その8ヵ月と2日後、12月4日に糸谷六段は森内俊之竜王(当時)を破り、竜王を奪取します。

それを踏まえて、糸谷六段のインタビューをご覧ください。

大物の片鱗

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- 皆さんに2013年度を振り返っていただきます。まずは糸谷さんから。今期はC級1組3期目にしてB級2組に昇級しました。

糸谷 順位戦としましては、兄弟子の片上さんと高崎さんとの勝負を制したことが大きかったですね。結構難しい将棋が多かったので、もうちょっと序盤から丁寧に将棋を組み立てていかないといけないと考えております。

- 勝負の年ということで、かなりの気合で臨んだということですが。

糸谷 そうなんですけど、全体成績がちょっと落ちているので、だいぶ不満ではあります。

- 26勝14敗、勝率6割5分は?

糸谷 まあ、最悪レベルの成績です。

大石・澤田 (笑)。

さすが糸谷竜王、発言のスケールが大きい。

悪くない成績ですが、そこそこで満足しないあたりに、大物の片鱗が表れています。

糸谷 長時間の将棋に適合するためいろいろ棋風改造を目指した結果が不調を生んでしまったのかなと思います。

- 竜王戦では初めて降級を経験しました(2組→3組)。

糸谷 竜王戦は単に自分が弱かったからなんですけど。相手も強い先生ばかりでしたし。まあ、NHK杯とかですね。早指しがだいぶ弱くなった気がします。

森  もっと早く変えた方がよかったかもしれないね。成績は上がってないけど、僕から見たらすごく幅が広くなって良かったと思うね。糸谷君から早指しというイメージを消してほしかった。その点ではよく頑張ったなと思いますけど。

さすが師匠、弟子のことをよくわかっていらっしゃる。

森信雄七段は11人の棋士(女流棋士・室谷由紀女流二段も含む)を輩出した現代の名拍楽。

故・村山聖九段の師匠でもあり、その麗しき師弟愛は11月19日公開の映画「聖の青春」で描かれ、日本中を感動の渦に巻き込むはずです。

有言実行の竜王奪取

それからなんだかんだとトークが続き、最後にこの手の企画恒例の、2014年度の抱負。

ここが本記事の白眉です。

- 最後にお一人ずつこれからの目標、抱負をお願いします。糸谷さんはどういう目標を持っていますか。

糸谷 竜王戦と順位戦の昇級、および勝率8割です。

- 竜王戦は次の将棋に勝てば2組に復帰できるんですよね。

糸谷 復帰じゃ駄目。優勝ですね。

- タイトル戦挑戦の目標も当然あると思いますが、何年以内に達成したいというビジョンはありますか。

糸谷 いつも狙う気持ちでやっていきます。狙わなければ叶うこともないので。

そして宣言通りに第27期竜王戦で3組優勝、有言実行とはまさにこのこと。

本戦トーナメントもあれよあれよの間に勝ち上がり、挑戦者決定戦で羽生善治名人(当時)をも下して糸谷哲郎竜王が誕生しました。

2014年度の勝率は30勝9敗で0.7692。

僅かに目標には届いていませんが、年度2位の堂々たる成績です。

順位戦での昇級は惜しくも逃したものの順位を大幅に上げて4位)、翌期に昇級を決めました。

2016年現在、竜王は失冠したものの、A級昇級が狙える位置につけています。

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