谷川浩司会長と羽生善治三冠に共通する幼稚園時代のエピソード
2016/11/14
(画像:神戸新聞NEXTより)
1990年代から2000年代前半にかけて、将棋史を代表する天才が大舞台で数多の激闘を繰り広げました。
十七世名人有資格者の谷川浩司九段と、十九世名人有資格者の羽生善治三冠です。
2人が積み重ねてきた全165局は、同一対戦記録歴代3位(出典)。
今では2人が対局することもめっきり減ってしまいましたが、将棋史を語る上では欠かせない、紛うことなき平成のゴールデンカードです。
Contents
両雄の幼稚園時代
その2人の戦史を簡潔にまとめたものが、約10年前に出版された将棋世界2007年2月号の付録としてついてきた「将棋ライバル物語2 将棋史を彩る天才対決 谷川浩司×羽生善治」です。
この付録は次の一手問題集で、両者の将棋から合計39問が出題されています。
なのですが、指し手の解説はそっちのけで2人の歴史を紹介している、意表の構成となっております。
それを読み返してみると、両雄の幼稚園時代のエピソードが紹介されており、それが興味深かったので紹介します。
まずは、谷川浩司九段の幼稚園時代のエピソード。
数字に興味を持つ子どもだった。さらに、切り絵や粘土細工の時間になると、他の子供はどんどん作業を進めるのに、浩司だけはじっと考え込んでいたという。頭の中で完成図を描いてから作業に取り掛かっていたのだ。実は、これとそっくり同じ話が羽生にもある。
続いて、羽生善治名人の幼稚園時代のエピソード。
「お絵かきの時間になっても善治君は白紙を前にしてなかなか描きださない。描きだすと早いんです。最初はワンテンポ遅れているのかなと思ったけど、そうではない。描く前にでき上がった絵をイメージしていたようなんです」。善治が通っていた、八王子桑の実幼稚園の先生の話だ。
粘土かお絵かきかの違いこそあれ、内容は全く同じ!
自然と身についていた「先を読む」能力
これはつまり、2人は幼稚園の頃から将棋において不可欠な「先を読む」ということができていたということです。
いや、できたというよりは自然に備わっていたのでしょう。
2人が将棋を始めたのは、谷川九段が5歳、羽生名人が6歳からなので、将棋をやっていたからその能力が身についた、という説明は成立しないでしょう。
桁外れの才能とはこういうことなのか、と思わずにはいられない両雄のエピソードでした。