棋士はなぜ、将棋を指すときに扇子を持っているのか?
2017/06/08
棋士は将棋を指すとき、なぜか扇子を持っています。
持っていないと不戦敗になるというわけでもないのに、なぜか持っています。
野球選手が打席に立つときにヘルメットをかぶっているのは、豪速球から頭を守るためですが、もちろん将棋を指していてそのような状況になることはありません。
ルール上の問題でもなく、命の危険から身を守るためでもないのに、棋士が将棋を指すときに扇子を持っているのは何故なのでしょうか?
スーツに扇子というアンバランスさ
(画像:竜王戦中継ブログより)
この疑問を抱くそもそもの理由は、「洋装」に「純和風の小物」というアンバランスな見た目だからです。
以下の引用はその一例であり、将棋に全く興味のない人が棋士を見たときのヘンテコさが見事に表れています。
若き森安秀光、新人王時代だったらしいが、かわいい子のいるスナックバーへ一人で行って冗談連発で遊んでいた。
「僕の商売わかるか。当ててみ」
「サラリーマンやないわね」まではわかるが、スーツにネクタイ姿。
手に持ったミスマッチの扇子がナゾ。
「あっ、そうか。わかったよ。漫才の人や。」
森安にっこりして「当たり!」
(引用:棋士の扇子より)
扇子は和服ならサマになりますが、普段の対局はスーツを着ている棋士が大半です。
棋士が和服を着るのは主にタイトル戦を戦うときだけであり、限られた状況で限られた棋士しか着る機会がありません。
棋士が扇子を使う理由(By 渡辺明竜王)
将棋の渡辺くん1巻(P.95)によると、渡辺明竜王曰く、以下の3つが理由だそうです。
- 扇ぐ
- パチパチと音を鳴らして、思考のリズムを取る
- 子どもの頃に棋士のマネをしてかっこつけてたときのクセ
とどのつまり、棋士が扇子を持っている理由に、大した理由はないのです。
以下、この記事を書いている人の推測ですので、話し半分のそのまた半分くらいに読んでみてください。
時代を経たことで本来の用途が必要なくなった?
ぼくが思うに、昭和の時代は純粋に扇ぐために使われていたのだと思います。
灼熱の時代1巻(第1話)で描写されているように、クーラーのない時代に丸1日かけて戦う将棋は、激しく暑い。
だからせめて扇ぐくらいはしないと体力がもたないし、ロクな将棋も指せません。
ところが、時代を経るにつれて冷房設備が整うようになり、扇ぐために持つ必要はなくなった。
でも、棋士が和服に扇子で悠然と指す姿に憧れる将棋少年は多く、彼らが棋士になってからも、扇子を持って対局に臨む文化が受け継がれてきた、と。