アマ初段くらい、誰だってなれます
2018/09/14
将棋をするうえで、ひとつの目標とされることの多い「アマ初段」という棋力。
将棋そのものが難しいイメージなうえ、「級」から「段」と大層な呼び名に変わることで、なんだかやたらと高い壁のように感じる人もいるかもしれません。
でも安心してください。
アマ初段くらい、誰だってなれます。
Contents
アマ初段なんて、大した棋力ではない
浦野真彦八段の著書「初段になるための将棋勉強法」は、この記事を書くために取り寄せた書籍です。
タイトルの通り、アマ初段になるための「勉強法そのもの」を解説した本なのですが、これは素晴らしい一冊です。
今から将棋をはじめようと思っている人は、まずこの本を買うことをお勧めします。
その冒頭(P.17)から、まずは浦野八段によるありがたいお言葉を引用しましょう。
これから初段を皆さんに、まず知ってもらいたいことがあります。
それは「初段になるために特別な才能はいらない」ということです。
もちろん、初段になるまでの期間に個人差はあるでしょう。
しかし、年齢や性別によって不可能ということはありません。
誰でも初段になることが可能です。
僕は現在アマ三段なので、すでに通った道です。
この「アマ三段」という棋力も大した強さではないのですが、アマ初段当時を振り返ると、さらに大したことのない強さだったとタメ息が出てしまいます。
アマ初段がすごそうに見えるのはただのイメージで、実際は大した強さではないのです。
アマ初段とはどれくらいの強さなのか
では、「アマ初段」とはどれくらいの棋力なのか。
数多くの弟子をプロに輩出し、将棋教室も経営する森信雄七段(同書籍の中でのインタビューに登場)の言葉を引用しましょう。
森 初段はある意味で、将棋を指して本当に面白く思うようになる入り口ですね。僕は教えている子供たちを初段にさせたいと思って取り組んでいます。でも、それが一番難しいんですね。初段になった人を二段、三段と上げるよりもずっと難しい。
森七段の言う、「アマ初段までさせるのがいちばん難しい」の意味はなんとなく分かります。
負けて負けて、初段になる前に嫌になるのです。
将棋は勝てないと面白くないですから。
何事も勝つためには基礎が必要なのですが、その基礎がようやくできてくるのがアマ初段なのです。
アマ初段になるために重要な3つのこと
浦野八段は棋力を向上させるために、以下のような重要な3つのポイントを挙げています。
- できるだけ毎日将棋にかかわる(継続)
- 効率の良い勉強法で取り組む(効率)
- 目的意識を持って取り組む(意識)
将棋に限らずどんなことにでも言えることですが、当たり前のことだからこそ重要なのです。
アマ初段になるために才能は必要ないけど、努力の継続は必須です。
アマ初段になるために、どのくらいの期間が必要なのか?
では、どれくらいの期間でアマ初段まで上達できるのでしょうか?
これから将棋をはじめる上で、特に忙しい大人は気になるところだと思います。
これもまた「初段になるための将棋勉強法」より、森信雄七段の経験が参考になります。
浦野 まず子供教室についてですが、教室に来る生徒さんはだいたいどれくらいで初段になりますか?
森 早い子なら一年くらい、だいたいは二~三年くらいですね。家で勉強しないで、うちの教室に月二回通っている子は二~三年くらいかな。初段になるのは、十人いたら、二~三人やなぁ。受験でやめていく子もいますから。
この話は、僕の経験とも合致します。
僕は小学五年生の時に将棋教室に通い始め、週1回通って2年後くらいに初段になった...はずです。
中学のときに初段になったのは間違いないはずですが、なんせ10年以上前の話なので、これ以上詳しくは思い出せません。
先程のは子どもの場合ですが、では大人ならどうでしょうか?
浦野 子供教室のほかに、一般向けの教室もやっていますよね。大人の場合だと、初段になるまで子供より時間がかかるものですか?
森 年齢によって変わるけど、やる気さえあれば子供の1.X倍くらいでいけることもありますね。ただ、どうしても大人のほうが自分の形を崩すことが難しいんですよ。大人は第一感で指す手が変わらないから、それを崩して伸びるのが大変ですね。
子どもの方が伸びそうなイメージがありますが、真面目にやれば大人の方が上達は早いみたいですね。
よく考えればその通りで、子どもとは理解力が段違いなんだから当然です。
でも「大人のほうが自分の形を崩すことが難しい」分だけ、いったんドツボにハマるとなかなか抜け出せない可能性は高い。
簡単には上手くいかないからこそ将棋は面白い
まとめると、大人なら「毎日まじめにやれば」2年くらいでアマ初段まではいけると思います。
2年という期間を長いと感じるかもしれませんが、簡単に上手くなれるのなら、それは元から大した競技ではないでしょう。
簡単には強くなれないからこそ、将棋は面白いのです。
それにしてもこの本、本当に内容が素晴らしいです。
僕も小学生の頃にこの本が欲しかったと、切に思いますね。