平凡な棋士のふところ事情
将棋界の気になるお金の事情。
羽生善治三冠なら1億、渡辺明竜王なら数千万円をほぼ毎年稼ぎだしています。
しかし、羽生三冠も渡辺竜王も将棋史に名を残す超一流棋士であり、超高給取りなのは当たり前の話です。
現役の将棋棋士は約160名くらいいますが、もちろん全員がそんなに稼いでいるわけではありません。
では、平凡な成績の棋士の年収はどれくらいなのでしょうか。
平凡な棋士の年収は若手サラリーマン並み
(↑)当記事の参考資料
トップ棋士だけ見ると恵まれた世界に見えるが、新四段の収入は年間勝率5割程度の棋士だと2年目の会社員とあまり変わらない。
棋士にならなければ他の道を新たに探すしかなく、奨励会に入った天才少年のうち6人に1人しか四段になれない難関も抜けてこの収入なのだ。
(略)
四段になった棋士は当然最初はタイトル獲得やトップ棋士を目指すので、修業にならない仕事は避け、対局と研究会だけという人もいる。
前述したように、現在は若くても本戦やリーグ戦に入れば高段者と同じ対局料がもらえるので、C級の若手でも年間700~800万円。
人によっては1000万円以上の収入のある棋士もいる。
(引用:将棋界の不思議な仕組み プロ棋士という仕事
P.23より)
タイトル戦に出るほどではなくても、やはりたくさん勝てる棋士なら若くてもそこそこ稼ぐことができると分かります。
そこまで勝てなくても、「2年目の会社員」程度に稼げるなら、男一人暮らしていくだけの収入になるとも言えます。
年を取ってから待ち受ける厳しい現実
しかし、これが独身の若手棋士ならまだしも、問題は家族を抱え、棋力も衰えた中年になってから。
サラリーマン並みの収入は稼げたとしても、棋士はサラリーマンとは給与体系が違うということです。
40代、50代になって給料が上がり退職金も出る公務員や大手サラリーマンと違い、将棋の場合は40代になればそこから対局料が上がっていくことはまずない。
棋士は退職金もないし、2011年に連盟が公益社団法人となって以降は年金も廃止されている。
つまり20代~30代で年収1000万円だったとしても、人生で何かとカネの必要な40代、50代になったとき、年収は全盛期の半分以下、しかも老後は年金もなし、なんてことは普通に起こりうる。
(引用:将棋「名勝負」伝説
P.80より)
年功序列という概念の無い、実力主義の将棋界の厳しい現実が垣間見れます。
いかに大棋士といえど棋力のピークを維持できるのは40代半ばくらいが限界で、平凡な棋士ならその末路は推して知るべし。
だから将棋教室を開いたり執筆活動をしたり、副業に精を出す棋士も多くいます。