将棋界初の女性棋士はどうなった? 里見香奈奨励会三段の受難
2017/10/24
2017年度の女流棋界は例年通りにマイナビ女子オープンから始まり、加藤桃子女王が上田初美女流三段を3連勝で一蹴しました。
そして現在は女流王位戦が進行中であり、2勝2敗で第5局(6/27)にもつれこみました。
ただ将棋の内容的には、挑戦者・伊藤沙恵女流二段が勝った将棋は、里見香奈女流王位が寄せ損ねた将棋です。
なので結局は、里見さんが防衛するでしょう。→追記:その通りになりました(参照:将棋世界 2017年9月号)。
三段リーグでは苦戦中の里見三段
(画像:女流王位戦中継ブログより)
女流五冠を保持し、女流棋界ではほぼ敵無しの里見さんですが、肝心の三段リーグでは苦戦中なのです。
里見さんのこれまでの三段リーグの成績を表にまとめてみました。
回 | 期間 | 勝数 | 負数 | 順位 |
---|---|---|---|---|
58 | 2015年10月~2016年3月 | 5 | 13 | 30/30 |
59 | 2016年04月~2016年9月 | 7 | 11 | 23/29 |
60 | 2016年10月~2017年3月 | 8 | 10 | 22/32 |
初参加以来3回連続で負け越ししており、初参加のときに至っては降段点をとりかけた(*あと1勝少なければついてた)ほど。
唯一の希望は、参加するたびに少しずつ成績が上がっていること。
本当なら第55回から参加するはずでしたが、体調不良による休場を余儀なくされたため、初参加は58回からになりました。
現在進行中の第61回も、8回戦までを終えて3勝5敗と、もうすでに昇段当落線上にいます。
僅かに可能性を見出すとすれば、「残る10戦を全勝してギリギリなんとか昇段できるかもしれない」くらいのレベル。
参考記事:三段リーグを抜けるために必要な成績
追記:第61回三段リーグを終えて
里見香奈三段の第61回三段リーグ成績は、7勝11敗でした。
里見さんは1992年3月2日生まれの現在25歳なので、おそらく次の第62回が(原則として)最後。
もうひとりの女性三段、西山朋佳奨励会三段
(画像:女流王座戦中継ブログより)
ちなみにもうひとりの女性奨励会三段、西山朋佳三段は第59回から参加し、いきなり10勝8敗と善戦。
しかし第60回では6勝12敗と大失速し、その期に参加していた32人中31位という大不振でした。
ところが現在の第61回は6勝2敗とスタートダッシュに成功し、順位上位の4人とともに1位タイにつけています。
過去の成績だけ見れば、実は初の女性棋士により近いのは、里見三段ではなく西山三段の方なのです。
藤井聡太 vs 里見香奈&西山朋佳
(画像:日本将棋連盟より)
数年前までは、「もしもう一度将棋に世間からの注目が集まるとすれば、里見さんが女性として初の棋士になったときだろう」と思っていました。
でも蓋を開けてみれば、第59回から初参加した藤井聡太三段(当時)が1期抜け。
しかも史上最年少棋士記録を62年振りに塗り替えるおまけ付きで、史上5人目の中学生棋士となり、日本中の注目を集めながらスター街道をまっしぐら。
そして藤井三段は女性三段2人ともに当たり、いずれも勝っています。
しかも西山三段は最終局で当たっているので、結果的に藤井聡太四段の誕生をアシストしたことになります。