藤井聡太四段(当時)の29連勝

藤井聡太四段が公式戦29連勝の最多連勝記録を樹立!

2023/04/02

30年間破られることのなかった大記録が、ひとりの天才少年によってついに塗り替えられました。

藤井聡太四段が第30期竜王戦決勝トーナメントという大舞台で、増田康宏四段に勝ち、公式戦29連勝の新記録を達成!

それと同時に、さらなる快挙である「15歳竜王」に一歩前進しています。

歴史的対局

追加発売されたクリアファイルを買うためにファンが約60人の行列をつくり、約100人の報道陣が詰めかけた歴史的対局。

将棋会館ではこの日、完売していた藤井四段のクリアファイルの追加発売日と重なり、朝から約60人が列を作った。

(略)

4階の特別対局室には40社約100人の報道陣が詰めかけ、熱気にあふれた。

対局開始5分前、振り駒で先手番となった藤井四段は、あまりの暑さに何度も口元をハンカチでぬぐいながら、扇子を右手で操り、作戦を考えていた。

(引用:東京・将棋会館に異例の拍手 偉業達成を期待より)

中継ブログにも、その異様な光景が写真に収められています。

(画像:竜王戦中継ブログより)

これだけの人間が同じ部屋に集まって、しかも電子機器をバンバン使っているとなれば、汗が出るほど暑いのも当然です。

束の間の攻勢

角換わりの出だしから増田四段が角交換を拒否し、宣言通り力将棋に持ち込みます。

藤井四段はすかさず棒銀で攻め、増田四段も相手の手に乗って8筋から動いて角交換します。

さらにその角をぶった切って先手陣の金と刺し違え、その金をベタっと打ちつけて(46手目)飛車を召し取ります。

この当たりの局面では、後手良しの声もありました。

が、実はこの将棋、増田四段の攻めのターンはここで終了。

以下、森下九段が「天才の寄せ」と評した、藤井四段の鮮やかな攻めを見るばかりでした。

天才の寄せ

さきほどの局面が、約20手後の67手目にはこうなりました。

桂馬がダブって攻めあぐねているようにも見えますが、増田四段の68手目の指し手は△3一歩。

これは駒損を甘受する粘り強い受けですが、こう指すしかないのでは先手の主張が通ったということ。

一点狙いの二枚角、一見重い形の継ぎ桂、という異筋の攻めを成立させてしまいました。

飛車を捕獲されたあたりの局面では、後手陣は居玉ながら角の打ち込みに強い形で、先手はどうやって攻めるのだろうと思っていました。

それがまさか、後手陣に打ち込むのではなく、2枚とも中段に据えてレーザービームを食らわすなんて、おそらく現時点では藤井四段にしか見えていない世界です。

増田四段もしのげると思って指していたようで、最後の「かなり強かった」に、本心が出ているような気がします。

26日、東京の将棋会館で行われた第30期竜王戦決勝トーナメント1回戦で、連勝を続ける史上最年少棋の藤井聡太四段(14)に敗れ、29連勝という公式戦新記録達成の相手となってしまった増田康宏四段(19)は、「終盤(の攻め)はしのげるかな、と思っていたけれど、思っていたより詰めが厳しかった。かなり強かった」と脱帽した様子だった。

(引用:昨年は新人王の増田四段 藤井四段に脱帽「しのげるかな、と思ったが…かなり強かった」より)

増田四段にとっては、その名を世間に知らしめる絶好のチャンスでしたがそれは叶わず、世間の期待通りに斬られ役となってしまいました。

次局は藤井四段のリターンマッチ

(画像:竜王戦中継ブログより)

藤井四段は7月2日(日)、4組優勝の佐々木勇気五段と、前人未到の30連勝を懸けて戦います。

佐々木五段とは昨年、まだ三段時代に非公式ながら戦ったことがあり、その将棋は二転三転の末、佐々木五段が勝利しています。

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つまり本局は、現時点では世にも珍しい、藤井四段の方がリターンマッチとなる対局ということです。

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