プロ編入試験はアマチュアだけでなく、女流棋士でも受けることができる
将棋界では、プロ棋士になろうと思えば原則として、奨励会に入会し、三段リーグを突破しなければいけません。
しかし例外として、「プロ編入試験」という制度があります。
瀬川晶司五段がきっかけで制度化され、この制度により今泉健司四段
が棋士になりました。
そしてこの制度は実は、アマチュアだけでなく、女流棋士でも利用できるのです。
女流棋士からプロ棋士へ?
*将棋界では「棋士」と「女流棋士」はそもそも別物だという話は、こちらの記事でどうぞ→将棋界の「棋士」と「女流棋士」の違い
受験資格
・現在のプロ公式戦において、最も良いところから見て10勝以上、なおかつ6割5分以上の成績を収めたアマチュア・女流棋士の希望者
・四段以上の正会員の推薦のある者
(引用:日本将棋連盟より)
プロ編入試験から棋士になったのは、2人とも普通の会社員だったので、アマチュアのための制度という印象が強いですが、制度上はしっかりと女流棋士も受けられるようになっています。
この制度があるならば
(画像:女流王座戦中継ブログより)
実際問題、女流棋士が棋士にどれだけ勝てるかというと、だいたい2割以下です。
関連記事:女流棋士は棋士にどのくらい勝てるのか?
ならば、10勝かつ6割5分なんて夢のまた夢ではないか、という話ですが、例外がいます。
現役の奨励会三段である、里見香奈三段と西山朋佳三段です。
関連記事:将棋界初の女性棋士はどうなった? 里見香奈奨励会三段の受難
これはつまり、もしお二人が四段になる前に年齢制限を迎え、女流棋士専業になったとしても、まだ棋士になる可能性は残されているということです。
三段リーグよりも可能性が高い?
むしろ、三段リーグを抜けるよりもこちらの方がまだ可能性が高いのではないか、という意見すらあります。
考え方だと思いますが、女流棋士になってタイトルに絡むと男性棋戦に参加することも可能になります。
三段リーグを抜けるよりも公式戦で10-5を取って編入試験を受ける方が、四段へなる可能性は高いのでは?と思います。
これは、女流棋士でなくて奨励会を目指す人にも同じことが言えて、全国大会優勝から10-5を目指すのもアリだと思います。
制度が変わることもあるので、あくまで今のルールならですが、三段リーグはかなりのハードルということです。
(引用:大平武洋の自由な日々より)
三段リーグなら半年かけて13勝5敗でも棋士になれない可能性があるのに対し、編入試験は最短10勝5敗で受験資格が得られ、5戦中3勝すれば合格。
数字だけ見れば、「三段リーグを抜けるよりも四段へなる可能性は高い」ともいえそうです。
ただし、三段リーグを抜ければすぐ順位戦に参加できるのに対し、プロ編入試験からだとフリークラスに編入されます。
もちろん単純な比較はできないですが、ともかく、もし2人が三段リーグを年齢制限で退会することになったとしても、まだ女性棋士が誕生する可能性は残されている、ということです。