なぜか名人戦挑戦者になれない渡辺明竜王
「渡辺明竜王が名人戦挑戦者になれない」は、将棋界の七不思議のひとつといっても過言ではないはずです。
それは「将棋の渡辺くん」でもネタになっています。
この漫画は、こういう聞きにくいことも、きっちりネタになっています。
毎年、挑戦者争いに加わることは加わるけど・・・
(*)将棋の渡辺くん 第2巻
20歳で竜王になって以来、常にタイトル争いの最前線を戦ってきた渡辺明竜王。
しかし名人戦に関しては、26歳でA級に昇級(第69期)して以降、「毎年挑戦者争いには加わるけど、途中から失速して結局無理でした」というパターンで、挑戦者になれない日々が続いています。
年度 | 期 | 年齢 | 勝敗 | 順位 |
---|---|---|---|---|
2010 | 69 | 26 | 6勝3敗 | 2 |
2011 | 70 | 27 | 7勝2敗 | 2 |
2012 | 71 | 28 | 5勝4敗 | 4 |
2013 | 72 | 29 | 5勝4敗 | 3 |
2014 | 73 | 30 | 6勝3敗 | 2 |
2015 | 74 | 31 | 6勝3敗 | 3 |
2016 | 75 | 32 | 6勝3敗 | 3 |
第73期は謎の出だし3連敗から、怒涛の6連勝で巻き返して4者プレーオフに進むも、そこで敗退。
第74期は佐藤天彦八段を1勝差で追っていたものの、8回戦というド急所で負けて結局6勝3敗で3位。
まごまごしているうちに、修業時代からの盟友であり4歳年下の佐藤天彦名人に先を越されてしまいました。
「毎年挑戦者争いに加わることは加わるけど、なんだかんだで結局は届かない」がもはやデフォルトになっています。
名人戦挑戦者になれない理由は「羽生さん」?
渡辺明竜王は過去7年、負け越した年は無いから、A級の中でも実力的に上位なのは間違いないのです。
なのになぜ、名人戦の挑戦者には手が届かないのか。
2年前に出版された渡辺明の思考 盤上盤外問答では、名人戦に出られない理由を「羽生さん」と言っていました。
- 順位戦の話が出たので、もうひとつ質問。「渡辺さんはA級順位戦では、毎期好成績を残しているものの、挑戦まではいっておられません。A級順位戦と他棋戦とはどういうところが違うのでしょうか?その難しさなどを教えてください」熊本県の25歳、ナッキーさんからです。
渡辺 理由は羽生さんです。
- さらりと言いますね。
渡辺 だってそうでしょう。この3年間、順位戦で圧倒的な成績を残しているんですよ、羽生さんが。
●引用:渡辺明の思考 盤上盤外問答
今年に入って少し衰えを見せてきた羽生さんを相手にどうなるか。
昨期の順位戦では、羽生さんではなく佐藤天彦八段(当時)が圧倒的な成績で優勝し、そのまま名人になってしまいました。
僕は天彦に負けて3勝2敗になってしまったので、ほぼ諦めていました(笑)。
天彦は5連勝だったから、2ゲーム差つくともう厳しいですね。
だから挑戦者争いは眺める気分でしたね。
●引用:将棋世界 2016年9月号
第75期でも稲葉陽八段が圧倒的な成績で優勝したので、どうやら羽生さんがいることだけが原因とはいえないようです。