里見香奈

里見香奈三段が奨励会退会...しかし、棋士への道はまだ断たれていない

2018/02/24

藤井聡太六段が歴史的快挙を成し遂げた翌日、将棋界にとっては残念なニュースが報じられました。

史上初の女性棋士を目指していた里見香奈三段の、奨励会退会が決まってしまったのです。

里見香奈三段の奨励会退会が確定

*2月19日の読売新聞朝刊で報じられた退会のニュース。女性で初めて三段になったときは、一面トップで報じられていた記憶があります。

2018年2月18日に行われた第62回三段リーグ15・16回戦で、里見三段は痛恨の2連敗。

7勝5敗からの4連敗となり、リーグ成績が7勝9敗となりました。

年齢制限を迎えても、勝ち越せば(つまり10勝8敗が最低ライン)次回も参加できる規定があるのですが、9敗目を喫したことで里見三段の退会が確定したのです。

女流第一人者でも勝ち越しすらできなかった三段リーグ

(画像:女流名人戦中継ブログより)

里見三段は第58回リーグから参加し、過去の各回のリーグ成績は以下の通りです。

期間 勝数 負数 順位
58 2015年10月~2016年3月 5 13 30/30
59 2016年04月~2016年9月 7 11 23/29
60 2016年10月~2017年3月 8 10 22/32
61 2017年04月~2017年9月 7 11 25/31

女流棋士としては女流五冠を保持し、女流棋界では誰もが認める第一人者でありながら、三段リーグではとうとう勝ち越すことすらできずに終わりました。

毎日新聞の報道によると、終局後の里見三段は「無言で将棋会館を後にした」と報じられています。

筆舌に尽くしがたい無念の心中であったことは、想像に難くありません。

奨励会は退会するが、棋士への道は断たれていない

しかし、奨励会を退会することになりましたが、それは棋士への道が断たれたことと同義ではありません

当ブログでも何度か記事にしてきたことですが、まだ「プロ編入試験に合格する」という手段が残されています。

プロ編入試験はアマチュアだけでなく、女流棋士でも受けることができるのです。

かつて瀬川晶司五段、今泉健司四段は奨励会を退会後にアマチュア棋戦や対プロ棋士相手に一定の成績を残したため、プロ棋士への編入試験を経てプロ入りした。編入試験の制度は女流プロにも適用されるため、仮に奨励会を退会することになってもプロ棋士への道を閉ざされるわけではない。

現在は多くの棋戦で女流プロ枠があり、予選で数名の女流プロが参加できる。こういった機会にプロ棋士に高い勝率を挙げることで編入試験への道はぐっと近づく。

(引用:目指すは「プロ棋士」 女流トップクラスの棋士が目指す「四段」とはより)

関連記事:里見香奈三段が最後の三段リーグで昇段できなくても、それでもプロ入りする方法

有終の美

第62回三段リーグの17・18回戦は、3月4日に行われます。

里見三段は10代の頃から「出雲のイナズマ」の異名とともにその名を世間に知られていましたが、そのときには26歳になっています。

もう勝とうが負けようが何も変わりはありませんが、2連勝して指し分けで終えて有終の美を飾り、2018年度からの活躍の糧としてほしいと思います。

-里見香奈