『将棋の渡辺くん』誕生秘話(後編) 伊奈めぐみさんが漫画を描くことにした意外な決め手
この記事は、『将棋の渡辺くん』誕生秘話(前編) 普通の主婦だった伊奈めぐみさんが漫画家になった理由の後編です。
元々ひとつの記事だったのですが、長すぎたので2つに分割しました。
前編の方を先にお読みのうえで、当記事をお読みすることをおすすめします。
*前編と同じく、当記事の注釈のない引用は全て将棋世界 2013年9月号「竜王の奥さんがマンガ家デビュー」より
めぐみさんと担当さんの初対面
(画像:将棋の渡辺くん1巻あとがきより)
渡辺棋王のナイスアシストもあり、めぐみさんと担当さん(『将棋の渡辺くん』にも頻繁に出てくる)が初めて会うことになるのですが...。
- そこから話はすんなり進んだ?
担当 何とか打ち合わせをするところまできまして、当然、僕が出向くつもりだったんですが、めぐみさんに断られました。これは見ず知らずの人に自宅を知られるのが嫌なのかと思って、では近くの喫茶店で、と言ったんですが、「それも嫌なので私が行きます」と強硬に言われた。結局、押し切られる形で編集部で会うことになって、そのときのめぐみさんの第一声が「あ、本当にいたんですね」だった(笑)。
伊奈 メールが本物かどうか心配していたら、旦那が「じゃあ直接行って実在しているか確かめてこい」と。
- それが編集部に乗り込んだわけだったんですね。
ファーストコンタクトが怪しさ満点のメールですから、めぐみさんが警戒するのも無理はありません。
しかし、ここまできてもまだ担当さんとめぐみさんが会っただけです。
そこから、マンガを描いたことも、描こうと思ったこともない普通の主婦が、なぜ漫画家としてデビューすると決めたのでしょうか。
漫画を描くことにした意外な決め手
- 話を受けようと決意した決め手は?
伊奈 お話を聞いて、そのときサンプルで4冊、マンガをもらったんです。その中の1冊がすごく気に行ったんですが、旦那には面白くないと言われて・・・。でも、それが、担当さんもいちばん好きなマンガと聞いて、すごく嬉しかったんですよ。それでやってみようかと。
担当 そうだったんですか。それは知らなかった。
直接の決め手は「担当さんと漫画の趣味が合った」から...ですか。
...なんというか、今一つピンとこない理由ですよね。
そのときの当事者同士でしか分からない、言葉では言い表せない雰囲気があったということでしょうか。
ともあれ、こんな突拍子もないメールを受け取っためぐみさんがどう思ったのかというと...。
マンガよりもマンガみたいな漫画家デビュー秘話
その後の「将棋の渡辺くん」の人気ぶりはご存知の通りです。
2015年12月には単行本の1巻が、2016年8月には2巻が発売され、いずれも増刷されました。
そして2018年3月9日に、待望の3巻が発売されました(4巻も2019年秋に発売予定)。
マンガを描いたことも描こうとも思ったことのない主婦の元に、ある日突然「マンガを描きませんか」というメールが届いて、それがきっかけで漫画家デビューしてしまった。
事実は小説よりも奇なり。
マンガよりもマンガみたいな、伊奈めぐみさんの漫画家デビュー秘話でした。