【2018年度版】藤井聡太七段は最高勝率記録を更新できるか?
2023/04/02
昨年、藤井聡太四段(当時)が29連勝を達成した翌日に、『藤井聡太四段は最高勝率記録をも塗り替えられるか?』という記事を書きました。
藤井四段(当時)はその後、しばらくは記録更新が実現しそうな勝率を維持し続けました。
しかし、冬になるとガクッと落ち込み、年度末に30連勝する勢いで巻き返すものの、結局届きませんでした。
...そして年度は変わり、藤井聡太七段の新たな挑戦が始まりました。
Contents
50年以上破られぬ最高勝率記録
藤井聡太七段はこの2018年度、最高勝率記録を塗り替えることができそうなのでしょうか?
まず最初におさらいしておきましょう。
現在の年度最高勝率は、中原誠十六世名人が1967年度に記録した、47勝8敗(勝率:0.8545)です(出典:日本将棋連盟より)。
関連記事:歴代最高勝率を記録した頃の中原誠五段(当時20歳)
この記録がどれくらい凄いかは、「50年以上に渡って破られていない」という事実からのみで、十全に分かります。
神谷広志八段の持っていた最多連勝記録(28連勝)は30年でしたから、それを遥かに上回る記録だということです。
将棋ブームの立役者2人でも届かなかった
藤井聡太七段は昨年度、将棋大賞の記録4部門を独占するほどに勝ちまくりましたが、それでも無理でした(歴代4位タイ)。
さらにいえば、七冠王になったときの羽生善治竜王(1995年度)でも届きませんでした(歴代3位)。
世に将棋ブームを巻き起こすほどの勢いで勝ちまくった2人でも、新たに塗り替えることはできなかったのです。
藤井聡太七段は今期、最高勝率記録を更新できるか?
最高勝率記録を塗り替えようと思えば、年間平均でおおよそ6勝1敗(0.8571)ペースで勝たなきゃならぬ、ということです。
では、今期の藤井七段はどのくらい勝っているのかというと、17戦14勝3敗(勝率:0.8235)です(2018年8月6日現在)。
本来なら充分過ぎるほどの高勝率ですが、まだまだ足りません。
あと4連勝して頂ければ、ひとまず例のペースに乗ります。
それをそのまま年度が終了するまで維持できれば、見事記録更新ですが...その道のりはまだまだ遥か遠く。
藤井聡太七段が契機で証明された若き日の中原誠十六世名人の凄さ
先日、藤井聡太七段が公式戦通算100局を達成?し、85勝15敗(0.850)という勝率は、歴代1位タイでした。
ならば藤井七段と同率1位の棋士は誰なのかというと、それが若き日の中原誠十六世名人です。
石田和雄九段(中原十六世名人と概ね同世代の棋士)は、著者『棋士という生き方』の中で、「現在の藤井聡太四段の勝ちっぷりもすごいものですが、当時の中原さんの勢いも、すごいものでした」と評しました。
藤井七段の活躍を契機に、若き日の中原十六世名人の勝ちっぷりの凄さが数字で証明され、また日の目を見たのでした。