藤井聡太七段が初めてのタイトル挑戦に最も肉薄した第66期王座戦
2018/08/30
史上最年少で棋士になってから、最年少タイトル獲得記録(18歳6ヶ月)の更新を期待されている藤井聡太七段。
藤井七段がプロデビュー以来、勝ちまくっていることは、周知の事実です。
しかし、(順位戦を除く)八大タイトル戦に限って記録を見れば、「挑戦権に手の届くところまで勝ち上がっていたわけではない」ことが分かります。
Contents
予選は勝ちまくるが、本戦で割とすぐに敗退することが多い
先日、藤井七段が公式戦100局目の対局に勝利したときのコメントで、「上位の先生と指して力の差を感じることもあった」と語っていました(AbemaTIMESより)。
あれだけ勝ちまくっていても、各棋戦の「予選」を勝っていることが多く、「本戦(決勝トーナメント)」入りすることも勿論あるのですが、その初戦か2回戦でトップ棋士に負けて敗退しています。
竜王戦
竜王戦では、2年連続で決勝トーナメント2回戦で敗退。
前期は佐々木勇気五段(当時)に負かされ(30連勝を阻止された将棋)、今期は増田康宏六段に昨年の29連勝のリベンジを果たされています。
叡王戦&棋王戦(2017年度)
棋王戦と叡王戦では、本戦トーナメント入りするも、その初戦でいずれもトップ棋士を相手に敗退。
棋王戦では豊島将之八段(当時)に完璧に負かされ、叡王戦では深浦康市九段に大逆転負けを食らい、ものすごく悔しそうにしていました。
棋聖戦&王位戦
棋聖戦と王位戦では、いずれも大橋貴洸四段に横歩取りで負かされています。
大橋四段は、藤井七段が現在公式戦で2敗している唯一の棋士です(通算では2勝2敗)。
王将戦
現状、藤井七段にとって「最も相性の悪い棋戦」と言っても過言ではないのが王将戦。
2年連続で一次予選で敗退しており、前期は菅井竜也七段(当時)にきれいな一手負け。
今期は2017年度最後の対局として井上慶太九段と戦い、相矢倉の激戦の末に負かされました。
挑戦権まであと2勝まで迫った第66期王座戦
こういう状況の中で、第66期王座戦は今のところ、最も初タイトルに近づいた棋戦です。
その初戦で師匠の兄弟子である小林健二九段に勝つと、あれよあれよと勝ち進み、二次予選決勝で糸谷哲郎八段をも負かし、決勝トーナメント進出。
そして1回戦で最年少タイトル獲得記録を持つ屋敷伸之九段を破ると、2回戦でも深浦康市九段にリベンジを果たし、ついにベスト4まで勝ち上がります。
「あと2勝すれば、ついに初めてのタイトル挑戦権獲得!」というところまできて、世間の期待も高まったことだと思いますが、準決勝で斎藤慎太郎七段に破れました。
今年度中に獲得の可能性があるのは棋王戦のみ
勝てば挑戦者決定戦の相手が、同じ「中学生棋士」の渡辺明棋王でした。
相手が相手だけに、さぞかし盛り上がったことだと思いますが、それはまたの機会に持ち越しとなりました。
今年度中に挑戦の可能性が残っているのは、第44期棋王戦のみ。
関連記事:2年連続で棋王戦挑戦者決定トーナメントに駒を進めた藤井聡太七段
挑戦者決定トーナメントに名を連ねてはいますが、まだまだ道程は長い上に、その1回戦の相手が菅井竜也王位という強敵です。