将棋界が群雄割拠になったのも、約31年間そうならなかったのも、その主な理由は羽生善治竜王
羽生善治竜王のタイトル通算100期達成が懸かっていた、第89期ヒューリック杯棋聖戦。
その第5局が行われた、2018年7月17日(火)のこと。
挑戦者の豊島将之八段(当時)が羽生善治棋聖をフルセットの末に下し、悲願の初タイトルを獲得!
その結果、将棋界は八大タイトルを8人のタイトル保持者で分け合う時代が訪れ、日本将棋連盟は、これを群雄割拠と表現しました。
タイトルを分け合う8人の棋士たち
タイトル | 在位者 | 年齢 |
---|---|---|
竜王 | 羽生善治 | 47 |
名人 | 佐藤天彦 | 30 |
叡王 | 高見泰地 | 25 |
王位 | 菅井竜也 | 26 |
王座 | 中村太地 | 30 |
棋王 | 渡辺明 | 34 |
王将 | 久保利明 | 42 |
棋聖 | 豊島将之 | 28 |
(*各棋士の年齢は、2018年7月17日当時のもの)
このような状況、つまり複数タイトル保持者がいなくなったのは、約31年ぶりのことだそうです(日本将棋連盟より)。
では、なぜ31年もの間、群雄割拠状態にならなかったのでしょうか。
際立つ羽生善治竜王の存在感
(画像:棋聖戦中継ブログより)
その理由のひとつは、いやこれが最大の理由だと思いますが、羽生善治竜王が長らく複数冠を保持しているのが当たり前だったからです。
羽生善治竜王の場合、1992年度に三冠王(竜王・王座・棋王)になって以来、2017年度までずっと、年度単位で複数冠を保持し続けています。
しかもこの間、一度も無冠になったことはありません。
一冠のみになったのも、2004年(王座)と2017年(棋聖)のわずかな期間のみですから、凄すぎて恐ろしさすら感じてきます。
羽生竜王が名人&棋聖敗退→群雄割拠
2018年度のタイトル戦は、まず高見泰地叡王がタイトル保持者として名乗りを挙げました(オレが高見泰地だ!→将棋世界2018年8月号)。
その後、佐藤天彦名人が羽生竜王の挑戦を退けて3連覇。
関連記事:名人復位そしてタイトル通算100期を達成できなかった羽生善治竜王
そして前述の通り棋聖戦で、8人目のタイトル保持者である豊島棋聖が誕生しました。
関連記事:疾風怒涛の豊島将之棋聖
名人戦も棋聖戦も、いずれもその番勝負の敗者は、羽生善治竜王です。
群雄割拠になったのもならなかったのも、そのどちらにも羽生竜王が大きく関わっています。
もっとも、第59期王位戦の結果次第では、31年前と同様に、群雄割拠が早々に崩れるかもしれませんが。
「タイトル通算100期」もしくは「無冠」が懸かる第31期竜王戦
平成の第一人者たる存在が立て続けに負けたことで、群雄割拠の時代になった。
羽生竜王だけが原因ではないのは重々承知の上ですが、とはいえやはり、時代の流れを感じざるを得ません。
その結果、秋から始まる竜王防衛戦は、前期に続いて将棋史に残るシリーズとなるでしょう。
なぜなら羽生竜王にとって、「タイトル通算100期」もしくは「無冠」が懸かる七番勝負となったのですから。