若手選抜棋戦に出場できなくなった藤井聡太七段(16歳)
2023/04/02
今年5月に行われた第31期竜王戦5組予選準決勝。
その対局で藤井聡太六段が船江恒平六段を破り、最年少かつ歴代最速で七段に昇段しました。
その結果、藤井七段のすごさを逆説的に証明するかのような、摩訶不思議な状況が発生しました。
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若手棋戦に3つとも出場できなくなった藤井七段
公式棋戦は全棋士参加が原則なのですが、例外もあります。
それが加古川青流戦とYAMADAチャレンジ杯と、新人王戦の3つの棋戦です(JT杯もそうですが、当記事の本旨とは関係ないので割愛)。
参加条件はそれぞれ微妙に異なりますが、基本的には若手棋士しか出場できない棋戦です。
その若手棋戦に、現役最年少棋士である藤井聡太七段(今年の夏にようやく16歳になった)が、全て出られなくなりました。
新人王戦は今年で最後、残る2つは昨年が最初で最後
(画像:マイナビ将棋情報局より)
あまりにも規格外なスピード昇段を重ねた結果、現役最年少棋士が若手棋戦3つとも全てに出られなくなるという、摩訶不思議な状況になっています。
そもそも2018年度は、加古川青流戦とYAMADAチャレンジ杯には出場していません。
新人王戦には出場していますが、トーナメント表にある肩書(段位)は、今や懐かしさすら感じる「四段」です。
もちろん来年度はもう出ることができませんので、今年が最後の新人王戦です。
ついでにいうと、新人王戦に出られなくなるのも最年少記録らしいです(マイナビ将棋情報局より)。
将棋界は年齢に関係なく、強い者が活躍する世界
最年少棋士が若手棋戦に出られない、さもヘンテコな話のように書きましたが、でもよく考えれば、ヘンな話ではありません。
なぜなら、将棋界は年齢に関係なく、強い者が活躍する世界だからです。
高校生だろうが、勝てば勝つほど対局が増え、ゆえに昇段のチャンスも増える。
そして、それらをことごとく活かし、史上最年少かつ歴代最速で七段まで昇段できた。
その結果として、若手棋戦への出場資格から外れたに過ぎません。
現役最年少棋士である藤井七段が若手棋戦に出られないのは、変な話に思えます。
けれどもそれは、棋士の世界が、年齢に関係なく活躍できることの裏返しである、ともいえるのです。
最後の新人王戦を優勝で飾れるか?
藤井七段は昨年度、いずれもベスト8で敗退しており、リベンジのチャンスはもう、今期の新人王戦しか残されていないのです。
藤井七段は、八代弥六段との「朝日杯優勝経験者対決」を逆転で制し、前期と同じベスト8まで勝ち上がっています。
そしてベスト4を懸けた、近藤誠也五段との対局が、8月31日に行われます。
近藤五段とは、今期のC級1組順位戦でも対局が組まれており、その前哨戦でもあります。
仮に近藤五段に勝ったとしても、次の相手は青嶋未来五段と、これまた若手のホープ。
追記(9/27):藤井聡太七段が第49期新人王戦決勝三番勝負に進出しました!
そして決勝三番勝負の相手はどちらであっても、長い長い道程を勝ち進んできた、言わずもがなの強敵。
朝日杯以来2度目の一般棋戦優勝まで、まだまだこんなにも険しい道が続いています。
果たして藤井七段は、並居る強敵を打ち破り、最後の新人王戦を優勝で飾れるのでしょうか?