藤井聡太七段は、同じ棋士に連敗することも少ない
藤井聡太七段が14歳2ヶ月で棋士になってからほぼ丸2年。
この間、連敗をしたことが2回しかなく、しかも3連敗はまだしたことがありません。
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しかも藤井七段は、公式戦で連敗することが少ないだけでなく、同じ棋士に連敗をすることもほとんどなかったのです。
1回目は負けても、2回目は負けない
藤井七段が初手合いのときには負けた、三枚堂達也六段、佐々木大地四段、深浦康市九段。
これら3名の棋士には、それぞれその次戦で見事勝利しています。
三枚堂達也六段→藤井聡太六段がC級2組を10戦全勝で昇級!
佐々木大地四段→99%負けていたはずの将棋すら勝ってしまう藤井聡太四段【第3期叡王戦四段戦予選準決勝】
深浦康市九段→藤井聡太七段が初めてのタイトル挑戦に最も肉薄した第66期王座戦
また、30連勝を阻止された佐々木勇気五段(現六段)には、AbemaTVトーナメント(非公式戦)の決勝戦で下して優勝しています。
藤井聡太七段が連敗している2人の棋士
このように、滅多に連敗しないうえに同じ棋士にも連敗しない藤井七段ですが、連敗した棋士ももちろん存在します。
まず1人目が、藤井七段と共に四段昇段を果たした、大橋貴洸四段。
棋聖戦と王位戦の予選で、横歩取りで2回負かされましたが、それ以前には藤井七段が2勝しているため、トータルでは2勝2敗の五分です。
【対局前】藤井聡太四段の2018年最初の対局は、大橋貴洸四段へのリターンマッチ
【対局後】藤井聡太四段が第59期王位戦敗退! 大橋貴洸四段に再び屈する
そしてもう一人が、菅井竜也七段。
こちらには今のところ2戦2敗しており、しかも内容的にも完敗です。
藤井聡太四段と菅井竜也七段の初手合い
藤井七段と菅井七段の初手合いは、2017年8月4日の第67期王将戦一次予選。
藤井四段(当時)の公式戦3敗目の対局にして、彼に初めて「完敗」と言っていい内容で負かしたのが、王位を獲得する直前の菅井七段でした。
【対局前】菅井竜也七段 vs 藤井聡太四段 今最も「タイトル保持者に近い男」に挑む超新星
【対局後】藤井聡太四段が公式戦3敗目 菅井竜也七段を相手に完敗を喫する
再戦の機会が訪れたのは、約1年後の2018年9月3日の棋王戦本戦トーナメント。
この対局をAbemaTVで観戦していて、そのときのメモが残っていたので(全くタイミングを逃しているのは承知で)、ここに書き留めておきます。
(観戦記)菅井竜也王位に再び屈した超新星
(画像:AbemaTIMESより)
藤井七段にとって、タイトル保持者と3度目の対決だった本局。
そして約1年前の初手合いでは完璧に負かされた前回のリターンマッチでしたが、本局でも大差をつけられて屈しています。
その差は特に持ち時間に現れており、藤井七段が使い切っているのに対し、菅井王位は終局時ですら2時間近くも残っていたというから、相当に苦心の形勢が続いていたことが伺えます。
本局はあまり観ることができなかったのですが、終盤の、かなり差がついていたあたりからは観ていました。
藤井七段が△7七角成と指したときだったと思いますが、その駒音が一際高かったことが印象に残っています。
劣勢でも容易には勝たせない、藤井将棋の執念が垣間見えた一手でしたが、菅井王位の着実な寄せを前に逆転には至らず。
投了直前の藤井七段は、天を見上げたりうなだれたり、腕を組んだりと忙しなさそうにして、最後の手を指されてすぐに頭を下げ、そしてまたうなだれました。
まるで行き場を失った悔しさが、心の中から漏れ出てきているかのようでした。